世界をリードする半導体製造装置メーカー、東京エレクトロンが2019年07月29日に発表した2019年4月〜6月期の連結決算は、市場に大きな衝撃を与えました。本決算において、本業の儲けを示す営業利益が前年同期比で41%減という厳しい数字を叩き出したのです。この大幅な減益の背景には、同社がこれまで得意としてきた「メモリ」向けの装置需要が急速に冷え込んだという事情が隠されています。
ここで言うメモリとは、スマートフォンやパソコンでデータを一時的に保存するDRAMや、電源を切っても記録が残るNAND型フラッシュメモリを指します。半導体業界は「シリコンサイクル」と呼ばれる激しい景気変動の波にさらされるのが常ですが、現在はまさにその停滞期に直面していると言えるでしょう。SNS上では「東エレクほどの巨人がこれほど下がるとは」といった驚きの声とともに、業界全体の先行きを不安視する意見が数多く投稿されています。
次世代通信規格「5G」の追い風は本物か?業績回復へのシナリオ
同社がこれまでメモリ分野に経営資源を集中させてきた戦略は、好況期には絶大な利益をもたらしましたが、今回の不況局面では皮肉にもそれが仇となった形です。しかし、河合利樹社長は決して悲観的な表情を見せてはいません。今後の反転攻勢の鍵を握るのは、世界中で普及が期待されている次世代通信規格「5G」に関連する投資です。5Gが社会実装されれば、通信速度が飛躍的に向上し、処理すべきデータ量が爆発的に増加するため、高性能な半導体が不可欠となります。
2019年後半以降には、この5G関連の需要が本格的に立ち上がり、再び製造装置への投資が活発化すると予測されています。編集者としての私の視点では、現在の苦境はあくまで「跳躍の前の助走」に過ぎないのではないかと考えています。特定の分野に依存するリスクは露呈したものの、微細化技術などの高い壁を乗り越えられる技術力を持つ同社には、他社を寄せ付けない圧倒的な優位性が依然として存在しているからです。
投資家たちの視線は、すでに2019年秋以降の回復シナリオへと注がれていることでしょう。短期的には厳しい局面が続くかもしれませんが、デジタル社会のインフラを支える同社の役割が揺らぐことはありません。5Gという巨大な潮流をいかに捉え、メモリ偏重からの脱却と多角化をいかに進めていくのか。半導体王者の次なる一手から、一刻も目が離せません。
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