日本のグルメシーンにおいて、今や当たり前となった「食べ放題」というスタイルがいつ、どこで生まれたかをご存じでしょうか。その歴史の幕開けは、1958年08月01日まで遡ります。この日、東京・千代田区の名門、帝国ホテルにて日本初のビュッフェレストラン「インペリアルバイキング」が産声を上げました。これこそが、現代の私たちが親しんでいる食のエンターテインメントの原点なのです。
この画期的なレストランは、北欧の伝統的な食習慣である「スモーガスボード」をモデルに構築されました。スモーガスボードとは、親しい友人たちが各自で食べ物を持ち寄り、多種多様な料理を各自の好みに合わせて自由に楽しむという温かな文化を指します。当時の日本には、自分で料理を取りに行くという発想自体が珍しく、この試みはまさに食の革命であったといえるでしょう。
提供されたメニューのラインナップも、名門ホテルにふさわしい贅を尽くしたものでした。宝石のように輝くキャビアや、ジューシーなビーフ、香ばしいドイツ風ハムの燻製といった豪華な品々が所狭しと並べられたのです。当時の料金は昼食が1200円、夕食が1500円に設定されていました。これは現代の感覚とは大きく異なり、庶民にとってはまさに高嶺の花と呼べる存在だったようです。
どれほど高価だったのかを物語る数字として、1958年当時の大学卒業者の初任給が挙げられます。当時の初任給は約1万2800円であったため、一度のディナーで月収の1割以上が消えてしまう計算になるのです。SNS上でも「今の価値に換算すると数万円のご馳走ではないか」といった驚きの声や、「当時の人にとっての憧れが詰まっている」といった感動のコメントが数多く寄せられています。
個人的な見解を述べさせていただくと、この「バイキング」という名称が日本独自の文化として定着した点に、当時の担当者の素晴らしいセンスを感じます。単なる食事の提供を超えて、海賊が豪快に宴を楽しむようなワクワク感を演出したことが、日本人の心を掴んだのではないでしょうか。今もなお、特別な日を彩る選択肢としてバイキングが愛され続けているのは、この時植えられた「選ぶ楽しさ」という種が大きく花開いた結果だと確信しています。
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