ホンダの国内販売をめぐる現状は、一見すると好調に見えるものの、その構造には深刻な課題が潜んでいると言えるでしょう。2018年度のホンダの国内新車販売台数は74万8,729台を記録し、トヨタ自動車に次ぐ第2位というポジションを確立しています。しかし、この販売台数の原動力となっているのが、圧倒的な人気を誇る軽自動車の「N-BOX」に大きく依存している点です。
N-BOXは、2018年度に23万9,760台という驚異的な販売台数を達成し、2位のスズキ「スペーシア」の15万8,397台に8万台以上の差をつけるという、まさに別格の存在感を示しています。この結果、N-BOXは2年連続で新車販売台数のトップに輝きました。しかし、ホンダ車全体の販売台数に占めるN-BOXの割合は32%にも達しており、この「強すぎるN-BOX」が、かえってホンダの国内販売が抱える厳しい実態を浮き彫りにしているのではないでしょうか。
ホンダは30車種を超える幅広いラインアップを展開しているにもかかわらず、N-BOXを除く大半のモデルは、月間販売台数が3,000台に満たない状況です。例えば、充電した電力のみで100キロメートル以上もの距離を走行できるプラグインハイブリッド車(PHV)、具体的には「クラリティ PHEV」のような先進的な車種も市場に投入されていますが、まだその存在や魅力が広く認知されていないのが現状です。これは、技術力のあるホンダにとって、非常に勿体ない状況と言えます。
さらに、国内事業の収益効率の悪さも目立っています。2018年度の所在地別営業利益を見ると、日本国内の営業利益は、欧州拠点の再編にかかった費用を日本で計上した影響もあって、僅か1,000万円という厳しい数字にとどまりました。これほどまでに国内販売が難しい状況にあるからこそ、ホンダ本社からも多くの幹部が視察に訪れる、新たな試みとして注目されているのが「さくらモール羽村店」なのです。
このさくらモール羽村店の活動は、まさにホンダの国内販売全体を底上げするための大きな期待を背負っていると言えます。SNS上でも、「軽自動車以外のホンダ車の魅力をもっと引き出すべき」「ディーラーの敷居が高いと感じていたので、新しい形態に期待したい」といった、現状への危機感と、革新への期待が混ざり合った反響が見受けられました。
既存のディーラーのイメージを覆し、多種多様な車種を誰もが気軽に見て回れるようにすることで、新しい顧客層、特に女性を含む客層を取り込むことを目指すこの店舗は、まさに新たなディーラー像を築き上げようとしている最中です。私の意見としても、ホンダが持つ高い技術力と多様な車種の魅力を、より身近で親しみやすい形で発信することは、N-BOXへの過度な依存を解消し、持続可能な国内販売体制を構築するための鍵になると確信しています。
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