ベトナムから日本へ向けて優秀な技術者を送り出す人材サービス、ひまわりサービスの代表を務めるグエン・トゥイ・リン氏は、2019年09月02日、日本企業がベトナム進出や人材採用を成功させるための重要な鍵を語りました。同氏は、ベトナム人の視点から見た日本企業の姿勢や、実務における商習慣のギャップについて鋭い指摘を行っています。異文化を背景に持つパートナーと手を取り合うためには、まず相手の価値観を正しく理解することが不可欠でしょう。
リン氏がまず挙げたのは、日本企業の意思決定が非常に緩やかであるという点です。ベトナムのビジネスシーンでは、チャンスを逃さないためのスピード感が極めて重視されるため、日本の慎重すぎるプロセスは機会損失と捉えられかねません。SNS上でも「日本の会議の多さや決断の遅さは、東南アジアの勢いについていけていない」といった厳しい声が散見されます。グローバルな市場で勝ち抜くためには、これまでの承認ルートを見直す勇気が必要だと言えるでしょう。
また、事務的な手続きや書類の作成においても、日本とベトナムの間には看過できない相違点が存在します。リン氏は、特に「契約書の記載方法」に注意を促しています。日本では額面給与を記載するのが一般的ですが、ベトナムでは労働者が実際に受け取る「手取り額」を基準に交渉や契約を行う習慣が根付いているのです。この認識のズレは、後に深刻な労使トラブルを招く恐れがあるため、雇用主は現地の常識に歩み寄る姿勢が求められます。
ここで専門用語の解説を加えますと、「額面給与」とは社会保険料や税金が差し引かれる前の総支給額を指し、対する「手取り額」はそれらが引かれた後に個人が自由に使える現金を意味します。ベトナムの労働者は、自分が最終的にいくら手にできるかを最優先に考える傾向が強いため、日本流の「総額表示」では不信感を生むケースがあるのです。こうした「文化の翻訳」こそが、海外展開における中小企業の最優先課題と言っても過言ではありません。
私は、リン氏の提言こそが、今後の日本が「選ばれる国」になるための指針だと考えています。単に労働力を確保する対象として見るのではなく、現地の文化や習慣を尊重し、真のパートナーシップを築こうとする誠実さが必要です。日本の伝統的なビジネススタイルを押し付けるのではなく、現地のスピード感や金銭感覚にアジャストしていく柔軟性こそが、これからの多文化共生社会における企業の強みとなるはずです。
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