2019年09月07日現在、秋の訪れを告げる風物詩であるサンマの深刻な品不足が、私たちの日常生活や経済活動に大きな波紋を広げています。かつては庶民の味方として親しまれたサンマですが、今シーズンの卸売市場への入荷量は驚くほど落ち込んでしまいました。その影響はダイレクトに店頭価格へ跳ね返り、現在は1匹あたり400円から600円という、例年の約3倍にも達する異例の高値で取引されている状況です。
この歴史的な不漁は、飲食業界にもかつてない試練を与えています。定食チェーンの「大戸屋」では、毎年多くのファンが心待ちにしているサンマの定番メニューについて、販売の延期を余儀なくされました。鮮度と脂の乗りにこだわる同社にとって、現在の供給量と品質では納得のいく提供が難しいという判断でしょう。楽しみが先延ばしになったことで、SNS上でも「秋の楽しみが奪われた」といった悲鳴に近い声が数多く投稿されています。
地域の大切な行事にも変化が生じており、毎年多くの人で賑わう「目黒のさんま祭り」では、提供するサンマをすべて冷凍品に切り替えるという苦渋の決断が下されました。本来であれば水揚げされたばかりの「生サンマ」を振る舞うのが恒例ですが、安定した数を確保するためには背に腹は代えられない状況なのです。祭りの風情を愛する人々からは、伝統の継続を応援するポジティブな反応がある一方で、旬の生サンマを味わえない寂しさを惜しむ意見も散見されます。
サンマの不漁がもたらす「食文化の転換点」
ここで注目したいのは、なぜこれほどまでにサンマが獲れなくなったのかという点です。専門家の間では、海洋環境の変化や、サンマが回遊するルートが変わってしまう「回遊路の変化」が主な要因として挙げられています。回遊とは、魚が成長や産卵のために特定の季節に合わせて海を移動することを指しますが、このルートが日本から遠ざかっているため、漁獲量が激減していると考えられているのです。まさに地球規模の環境変化が、私たちの食卓を直撃しています。
編集者の視点から申し上げますと、今回の不漁騒動は単なる一過性のニュースではなく、日本の豊かな「旬」の文化を見直す重要な分岐点になるのではないでしょうか。これまでは「安くて美味しいのが当たり前」だったサンマが、今や高級食材の仲間入りを果たそうとしています。私たちは、自然の恵みを安定して享受できることが、どれほど奇跡的なバランスの上に成り立っているのかを再認識すべき時期に来ているのかもしれません。
もちろん、冷凍技術の向上によって「冷凍サンマ」でも十分に美味しいものを食べられるようにはなっていますが、やはり生サンマ特有のワタの苦味や身のふっくら感は格別です。2019年09月07日のこの危機的な状況を乗り越え、再び秋の空の下で脂の乗ったサンマを気軽に楽しめる日が戻ってくることを願って止みません。今後の漁獲量の推移や、スーパーでの価格変動からは、まだまだ目が離せない日々が続きそうです。
コメント