北海道沖でサンマ漁船「第65慶栄丸」が転覆か。記録的不漁が招いた遠洋操業と懸命の救助活動の行方

2019年09月17日の午前11時30分ごろ、北海道の東端に位置する納沙布岬の沖合から、衝撃的なニュースが飛び込んできました。大樹漁協に所属するサンマ棒受け網漁船「第65慶栄丸」が、荒れ狂う横波を受けた後に消息を絶ったというのです。この船には、52歳の船長をはじめとした43歳から74歳までのベテラン乗組員8名が乗り込んでいました。SNS上では「どうか全員無事でいてほしい」「過酷な漁の実態に胸が痛む」といった、安否を気遣う切実な声が次々と投稿されています。

事態が急変したのは、17日の午前7時ごろのことでした。僚船の乗組員が衛星電話で連絡を取った際、慶栄丸側から「波をかぶった」という緊迫した言葉が発せられたのを最後に、ぷっつりと通信が途絶えてしまったのです。これを受け、第3管区海上保安本部の航空機が直ちに現場海域へと急行しました。通報から約3時間後、納沙布岬から東へ約640キロという遠く離れた海上で、船底を上にして転覆している船体が発見されるという、痛ましい状況が確認されています。

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記録的な不漁がもたらした過酷な漁場の選択

今回の事故の背景には、近年のサンマ漁を取り巻く極めて厳しい環境があると考えられます。大樹漁協の証言によれば、2019年は記録的なサンマの不漁に見舞われており、漁師たちは魚群を求めて例年の2倍以上も遠い海域まで進出せざるを得ませんでした。サンマ棒受け網漁とは、強い光で魚を集めて網ですくい上げる伝統的な漁法ですが、遠方への航海はそれだけ燃料代やかさむリスク、そして気象変化への対応という重い課題を突きつけることになります。

編集部としては、食卓に並ぶサンマ一匹の裏側に、これほどまでに命懸けの現場がある事実に改めて粛然たる思いを抱かざるを得ません。本来であれば、2019年09月18日には港へ帰り、家族との再会を果たすはずだった乗組員たちの無事を願わずにはいられません。不漁という不可抗力が、経験豊富な漁師たちを危険な遠洋へと駆り立ててしまった現状は、日本の水産業が直面している構造的な危うさを浮き彫りにしているのではないでしょうか。

現在、現場海域では釧路海上保安部の巡視船「えりも」が全速力で救助に向かっているほか、近隣で操業していた漁船3隻も懸命な捜索を続けています。さらに、海上自衛隊の航空機も2019年09月17日の夜から翌18日の朝にかけて、上空からの視認捜索を実施する体制を整えました。一刻を争う状況の中、冷たい海原に取り残されているかもしれない8名の命を救い出すため、官民一体となった救助活動が夜を徹して行われる見通しです。

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