2019年09月27日の米国株式市場は、これまでの楽観的なムードが一変し、ダウ工業株30種平均が続落する展開となりました。トランプ大統領の弾劾調査を巡る政治的な不透明感に加え、市場に衝撃を与えたのは米政権が検討しているとされる「対中投資の制限」という新たなカードです。米有力メディアが相次いで報じたこのニュースは、米中貿易摩擦が従来の「モノ」の関税合戦から、ついに「カネ」の流れを制御する資本市場の争いへとステージを変えたことを物語っています。
具体的に検討されている内容には、米国から中国への証券投資の制限だけでなく、米国市場に上場している中国企業の株式(ADR)の上場廃止までもが含まれているようです。「ADR(米国預託証券)」とは、外国企業の株式を米国の銀行などが預かり、その代替として発行する証券のことで、投資家が米国の市場で手軽に外国株を売買できる仕組みを指します。この画期的なシステムにメスが入る可能性が浮上したことで、バイドゥやJDドットコムといった中国ハイテク大手の株価は軒並み急落し、市場には動揺が広がりました。
SNS上では「ついに資本のデカップリング(切り離し)が始まったのか」「投資家保護の名を借りた経済戦争だ」といった驚きの声が溢れています。これまで米中の対立は農産物の買い付けや知的財産権の保護が中心でしたが、金融市場という心臓部にまで火の手が及んだことは、投資家にとって看過できない事態でしょう。私自身の見解としても、ルールに基づいた自由な資本移動を制限する動きは、短期的な政治的圧力にはなっても、長期的な市場の信頼性を損なう諸刃の剣になりかねないと危惧しています。
こうした政治的な駆け引きは、実体経済を支える企業業績にも暗い影を落とし始めています。半導体大手のマイクロン・テクノロジーが2019年09月26日に発表した業績見通しは、市場の期待を大きく下回るものでした。同社のサンジェイ・メロートラCEOが語るように、需要回復の兆しは見えても、貿易問題を巡る先行きの見えない不安が足かせとなっています。特に中国のファーウェイとの取引再開の許可が下りない現状は、半導体業界全体の設備投資抑制を招き、関連銘柄の連鎖安を引き起こしました。
2019年10月10日には閣僚級の貿易協議が再開される予定ですが、投資家の間では「事態が好転する」という期待感は急速にしぼんでいます。政治の動向に振り回される相場環境において、10月から本格化する米主要企業の決算発表で経営陣がどのような慎重姿勢を見せるかが、今後のダウ平均の命運を握るでしょう。かつての史上最高値が遠のくなか、私たちは「経済の論理」よりも「政治の論理」が優先される、非常に不安定な局面を注視していく必要があります。
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