オーストラリアのシドニーで、壊れたモノを自分たちの手で蘇らせる「リペアカフェ」が大きな賑わいを見せています。2019年10月04日現在、多くの住民が故障した家電や愛着のある家具を抱えてこの場所を訪れているのです。基本的には無料で利用できるこのサービスですが、活動を支援するために10豪ドル(約720円)ほどを自発的に寄付する人々も少なくありません。SNS上でも「お気に入りが直った!」「修理のコツが学べる」と、温かい交流の様子が拡散され、注目を集めています。
オーストラリアでは、家電や家具の多くを輸入に頼っているのが現状です。しかし、昨今の住宅価格の下落による消費の冷え込みや、豪ドル安の影響で新品の価格が上昇しつつあります。こうした経済背景が、皮肉にも「モノを大切に使い続ける」という意識を人々の間に芽生えさせたのでしょう。単なる節約術としてだけでなく、大量消費社会を見直す新しいライフスタイルとして、リサイクル文化が着実に根を張り始めている様子が伺えます。
プロの技術を間近に!世代を超えた交流が生まれる修理の現場
2019年03月にオープンしたこのリペアカフェは、毎週水曜日の午後にシドニー近郊のコミュニティセンターで開かれています。会場にはリタイアした元電気技師などの熟練ボランティアが4、5名ほど常駐しており、専門的な工具や部品も完備されています。利用者は修理したいモノを持ち込むだけで、プロの指導を受けながら作業に没頭できるのです。ある70代の女性は、親切なスタッフに教わりながら掃除機の分解に挑戦し、その利便性と心のこもった対応を高く評価しています。
運営を担うのは、リサイクルショップ企業の「ボウワー」です。代表のグイド・ベルビストさんによれば、欧州ではこうした「リペアカフェ」の概念はすでに一般的だといいます。ここでいう「リペアカフェ」とは、単に修理を依頼する場所ではなく、所有者自身が修理プロセスに参加し、技術を学ぶワークショップ形式の集まりを指します。広大な土地を持つオーストラリアでは、これまで「捨てる場所」に困らなかったため、こうした文化の普及が遅れていました。
しかし、環境保護への意識が高まる中で、シドニー各地に同様の拠点が広がりつつあります。私は、この活動は単なるゴミの削減以上に、人々の「つながり」を再生する力があると感じています。高度な技術を持つシニア世代が、その知識を地域に還元し、感謝される仕組みは、超高齢社会における理想的なコミュニティの姿ではないでしょうか。モノを直す時間は、同時に持ち主の心をも満たしてくれる、非常に豊かなひとときであるに違いありません。
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