山口県宇部市に拠点を置く金属加工の実力派、伸和精工が宇宙産業への本格的な一歩を踏み出しました。同社は金属3Dプリンターを駆使し、超小型人工衛星の基幹パーツ製造に乗り出したのです。この挑戦は、最先端の研究を進める東京大学の小泉宏之准教授の研究室とのタッグにより実現しました。
今回の共同開発における最大のミッションは、衛星エンジンの劇的な小型化と軽量化にあります。宇宙空間へ重い荷物を運ぶには膨大なコストがかかるため、部品のひとつひとつを極限まで軽くすることは、ロケット打ち上げの成功を左右する極めて重要な要素といえるでしょう。
金属3Dプリンターが切り拓く「不可能」を「可能」にする造形技術
ここで注目すべきは、金属3Dプリンターという画期的なテクノロジーです。これは金属の粉末にレーザーを照射し、一層ずつ積み重ねて立体を作る「付加製造(アディティブ・マニュファクチャリング)」と呼ばれる技術を指します。従来の削り出しでは困難だった複雑な内部構造も、自由自在に形作ることが可能です。
すでに航空機業界では導入が進んでいるこの技術ですが、伸和精工はそこに独自の強みを掛け合わせます。同社が得意とする「切削加工」や「板金加工」といった伝統的な職人技と、最新の3D造形を融合させるのです。複数の手法を組み合わせることで、強固かつ機能的な最適構造の実現を目指しています。
2019年10月14日現在、SNS上でも「地方の町工場が宇宙へ行くなんて夢がある」「日本のものづくり精神が詰まっている」といった期待の声が広がっています。一見すると対極にあるような「伝統の加工」と「最新のデジタル造形」の融合は、まさに次世代の製造業が進むべき道を示しているのではないでしょうか。
編集者としての私の視点では、この取り組みは単なる部品製造に留まらない価値があると感じています。山口県の企業が大学の研究機関と密に連携し、世界を相手にする宇宙ビジネスのサプライチェーンに食い込む姿は、日本全国の地域産業に勇気と刺激を与える希望の光となるに違いありません。
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