サウジアラビアの原油施設が攻撃を受けてから、2019年10月13日でちょうど1カ月が経過しようとしています。2019年10月11日には紅海でタンカーの爆発事故が発生するなど、米国とイランの対立によるホルムズ海峡の緊迫した情勢は今も続いています。
こうした中、日本のエネルギー調達における脆さが浮き彫りになりました。注目すべきは、発電燃料の約4割を占める液化天然ガス(LNG)です。実は、日本が輸入するLNGのうち、ホルムズ海峡を通過するものはわずか14%に過ぎないという事実をご存知でしょうか。
それにもかかわらず、中東情勢の悪化は日本のLNG価格に直撃します。この不可解な現象の裏には、日本のエネルギー業界が長年抱えてきた「原油価格連動」という特殊な商慣習が潜んでいます。SNS上でも「なぜ関係ないはずのガス代まで上がるのか」と不安の声が広がっています。
キャビアでワインの値段を決める?LNG価格の歪な構造
「これはキャビアの価格を基準にして、ワインの価格を決めているようなものだ」。世界最大級のLNG調達量を誇るJERAの幹部は、現在の価格決定システムを皮肉を込めてこう表現します。LNGそのものの需給ではなく、原油価格に引きずられて値段が決まる現状への嘆きです。
2019年9月14日に発生したサウジの施設攻撃により、原油価格が急騰する懸念が生じた際、国内の電力・ガス会社には激震が走りました。多くの企業が3カ月前の原油価格を基準に購入価格を決める長期契約を結んでいるため、タイムラグを経て家計や産業を圧迫するリスクがあるからです。
そもそもLNG(液化天然ガス)とは、天然ガスをマイナス162度まで冷却して液体にしたものです。体積が600分の1になるため大量輸送が可能ですが、かつては指標となる国際価格がなかったため、やむを得ず原油価格を「物差し」にしてきた歴史的背景があります。
脱・原油連動への挑戦!多角化する日本のエネルギー戦略
このリスクを打破すべく、東京ガスは2019年4月、世界で初めて石炭価格に連動するLNG購入契約を締結しました。石炭は産地が分散しており、原油に比べて価格の変動が穏やかです。また、2018年からは米国産のシェールガス由来のLNG輸入も開始されました。
さらに、その都度買い付ける「スポット取引」の比率を、現在の1~2割から3割程度まで引き上げる動きも加速しています。JERAも欧州企業と連携し、機動的に転売や調達ができる体制を整えました。こうした独自の価格指標を持つ取引が増えることは、日本の安全保障に直結します。
編集者の視点から言えば、この「原油依存」からの脱却は、単なるコスト削減ではなく、日本の生存戦略そのものです。欧州ではすでにガス市場の改革が進み、原油連動の比率は5割まで低下しています。日本も今こそ、中東の動乱に右往左往しない強靭な体制を築くべきでしょう。
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