政府が発表する経済指標の中でも、私たちの働く環境をダイレクトに映し出す「毎月勤労統計」が、予期せぬトラブルに見舞われました。厚生労働省は2019年08月22日、翌日の午前に予定していた2019年06月分の確報値公表を延期すると電撃的に発表したのです。この決断の裏側には、大阪府で発覚した調査員による目を疑うような不適切処理がありました。信頼性が命である政府統計の足元を揺るがす事態に、世間では驚きの声が広がっています。
そもそも「毎月勤労統計」とは、私たちがどれくらいの給料を受け取り、どれほどの時間働いているのかを把握するための極めて重要なデータです。この数値は、政府が日本の景気が良いのか悪いのかを判断する基準になるだけでなく、雇用保険や労災保険の給付額を決定する計算式にも組み込まれています。つまり、働く人すべての生活に密接に関わる「物差し」といえるでしょう。SNS上では「また統計の不正か」「基礎データが間違っていては経済政策など立てられない」といった厳しい批判が相次いでいます。
今回の公表延期の引き金となったのは、大阪府に所属する調査員2名によるずさんな仕事ぶりでした。一部の調査項目について、対象となる事業所に直接聞き取りを行わないまま、まるでヒアリングしたかのように調査票を捏造していたことが明るみに出たのです。こうした「不適切処理」は統計の精度を著しく低下させる行為であり、2014年01月分以降の過去データまで遡って再集計を行うという異例の事態に発展しました。厚労省は2019年08月中の再公表を急いでいます。
気になるのは私たちの懐事情への影響ですが、幸いなことに雇用保険などの給付額に対して、今回の不祥事が及ぼす影響はほぼないと説明されています。しかし、統計に対する国民の信頼という、お金では買えない価値が大きく損なわれたのは事実でしょう。私は、どれほど優れた経済政策を議論したとしても、その根拠となるデータが不正確であれば、それは砂上の楼閣に過ぎないと考えます。現場の調査員一人ひとりにまで、公共データの重みを再認識させる徹底した教育が不可欠です。
今後のスケジュールについてですが、2019年09月06日に予定されている2019年07月分の速報値公表には、現時点で影響は出ない見込みとされています。当局には、単なる数字の修正にとどまらず、なぜこのような事態が再発したのかという根本的な原因究明を強く求めたいところです。二度と「数字の魔法」で国民を惑わすことがないよう、透明性の高い統計システムの再構築が急がれます。一刻も早く正確なデータが示され、社会の不信感が拭い去られることを願って止みません。
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