厚生労働省は2019年10月21日、労働者の賃金や労働時間を調査する「毎月勤労統計」において、奈良県内でも不適切な調査が行われていた事実を公表しました。先に発覚した大阪府での不祥事を受け、全国規模で実態調査を進めた結果、新たに1人の調査員による「架空調査」が明るみに出たのです。
この「架空調査」とは、実際には対象の事業所を訪問して回答を得ていないにもかかわらず、あたかも調査を行ったかのように虚偽のデータを捏造する極めて深刻な不正行為を指します。公的統計は国の政策判断を左右する重要な羅針盤であるはずですが、その根幹を揺るがす事態に陥っているといえるでしょう。
不適切調査の影響で労災保険の追加給付が発生
大阪府と奈良県で確認されたデータの訂正作業に伴い、本来支払われるべき金額よりも過少に給付されていた労災保険などの再計算が行われる見通しです。対象者は全国で約600人から700人に上る可能性があり、厚生労働省は追加給付に向けた事務手続きを急いで進めています。
追加給付の総額は10万円程度と見積もられており、2019年度中には対象となる方々へ個別のお知らせが開始される予定となっています。金額の多寡にかかわらず、行政のミスによって国民の権利が損なわれた事実は重く、迅速かつ丁寧な対応が求められるのは言うまでもありません。
ネット上では「また統計の不正か」「私たちの納めた保険料が正しく管理されているのか不安だ」といった厳しい声が相次いでいます。SNSの反響を見ても、政府が発表する数字そのものに対する不信感が急速に広がっており、失われた信頼を取り戻す道のりは決して平坦ではないことがうかがえます。
個人的な見解を述べさせていただくと、統計調査のデジタル化やチェック体制の厳格化は急務ですが、それ以上に現場の負担軽減や倫理観の再構築が必要です。調査員一人に責任を押し付けるのではなく、なぜ不正が起きる構造になっていたのかを徹底的に究明し、再発防止に努めるべきでしょう。
コメント