2019年5月31日、世界中が注目するがん免疫治療薬**「オプジーボ」を巡る特許収入問題で、ノーベル生理学・医学賞受賞者である京都大学の本庶佑**(ほんじょ たすく)特別教授が、製薬大手小野薬品工業に対して強い決意を示されました。
本庶氏は日本経済新聞の取材に応じ、小野薬品が増額提案を一度書面で提示したにもかかわらず、「一方的に撤回した」と厳しく批判。もし小野薬品が交渉を再開し、この当初の増額提案を復活させるのであれば、歩み寄る用意があることも明らかにしています。
しかし、このまま交渉が拒否され続けるならば、法廷闘争も辞さないという強い構えを見せています。本庶氏の**「国際的に恥ずかしくない常識的な範囲の料率」を求める熱い主張は、日本の産学連携**(さんがくけんけい:大学など研究機関と企業が協力して研究開発や事業を行うこと)のあり方にも一石を投じるものと私は考えます。
💡本庶氏が問題視する「安すぎる」特許料率とは?
本庶氏と小野薬品は2006年に契約を締結しました。本庶氏が小野薬品から受け取る特許収入は、大きく分けて三つのルートがあります。一つ目はオプジーボの小野薬品による売上の一部、二つ目は米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)から小野薬品に入る特許使用料の一部、そして三つ目は米メルクからBMSを介して小野薬品に入る特許の使用対価の一部です。
驚くべきことに、これらの受け取る割合は全て1%以下。本庶氏はこれを**「安すぎる」と問題視されているのです。これに対し、小野薬品は5月22日に「両者の合意のもと締結した」とのコメントを発表し、料率の見直しには否定的な姿勢を見せています。しかし、私は、革新的な技術の生みの親に対して、この料率はあまりにも報われていないと言わざるを得ません。技術開発にかける情熱と労力に見合う対価が支払われるべきでしょう。
本庶氏の主張によれば、増額交渉はオプジーボが発売される前の2011年から始まっており、「もうけが出てから増額しろという後出しじゃんけんではない」と強調されています。具体的な増額の提示は2013年で、小野薬品から「それぞれの特許料率などを2%、10%、40%に増やす**」という提案が書面でなされたといいます。本庶氏は、この提案でさえ**「相場よりも安すぎる」として合意には至らなかったものの、交渉は継続していました。
しかし、その後の米メルクとの特許訴訟の和解が成立した後、小野薬品は「一方的に(提案を)撤回した」上に、それ以降は「まったく交渉に応じなくなった」と本庶氏は語っています。この「一方的な撤回」という行為は、信頼関係を築く上で極めて問題があるのではないでしょうか。
⚔️交渉再開の鍵と株主総会への期待
本庶氏が求める「落としどころ」は明確です。それは「国際的に恥ずかしくない常識的な範囲の料率にしてもらえればいい」というもので、「売れているからもっと出せと言っているわけではない」と、あくまで公平で妥当な対価を望んでいらっしゃるのです。
増額交渉が再開されない場合、本庶氏はまず増額の履行を求める訴訟も選択肢として排除しないお考えです。そして、「結論は出していない」としながらも、「(2019年6月20日の)小野薬品の株主総会前後が大きなターニングポイント」になると述べており、株主の意見によって状況が変わることへの期待をにじませました。
小野薬品にとって、契約を見直すことは短期的に収益を圧迫し、株主からの懸念が広がる可能性もあります。しかし、本庶氏は「このままでは最終的に優秀な学生の採用や大学との共同研究が難しくなり、企業価値が下がるのではないか」と警鐘を鳴らしており、長期的な視点に立てば、適正な対価の支払いが企業価値を高めることに繋がる、という私の意見に強く共鳴する発言です。
🏫脆弱だった京大の支援体制とSNSの反響
また、本庶氏は、契約当時の京都大学の産学連携の支援体制について、「脆弱どころかまったくなかった**。とにかくひどかった」と手厳しい評価をされています。技術の価値を正しく評価し、発明者を守るための大学側のサポート体制の重要性が浮き彫りになりました。幸い、「いまは京大も本気で関与している」とのことですが、この問題は日本の他の大学にとっても教訓となるべきでしょう。
この特許問題を巡る報道に対して、SNS上でも大きな反響が巻き起こっています。多くのユーザーが**「ノーベル賞級の発明に対して1%以下は少なすぎる」「小野薬品は世界の常識に照らして誠実に対応すべきだ」といった意見を表明し、本庶氏を支持する声が目立っています。中には「メルクとの訴訟の和解後に手のひらを返すような態度は信用に関わる」と、小野薬品の交渉姿勢を疑問視する声も見受けられました。
なお、オプジーボに関する特許の共同発明者に米国の研究者2人を加えるとした米連邦地方裁判所の判決についても、本庶氏は「控訴の手続きに入った」と明言し、「争う点はがん治療法の特許が誰のものなのかであり、それは明らかだ」と、自らの特許保有に自信を示していらっしゃいます。
小野薬品は、本庶氏の主張には「当社の認識とは異なる部分が含まれている」としながらも、「2018年11月に申し入れた寄付について話し合いを続けていく」とのコメントをされています。しかし、寄付ではなく、適正な特許使用料の支払いこそが、この問題の本質的な解決**につながる道ではないでしょうか。世界を救う可能性を持つ革新的な成果には、それに見合った評価と対価が支払われるべきでしょう。
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