2019年10月21日、東京都内にて全国高等学校長協会(全高長)による緊急シンポジウムが開催されました。来年度から導入が予定されている大学入学共通テストの英語民間試験に対し、教育現場のリーダーたちが強い危機感を露わにしています。現状では、受験生の経済力や住んでいる地域によって生じる「教育格差」が解消されていないという切実な訴えが相次いでいるのです。
SNS上でもこの問題は大きな波紋を広げており、「住んでいる場所でチャンスが変わるのは不公平だ」「受験料の負担が重すぎる」といった受験生や保護者の悲痛な声が溢れています。全高長の萩原聡会長は、現場の混乱が日増しに激化している現状を報告し、制度の延期を改めて強く求めました。国が進める大きな改革の影で、当事者である生徒たちが置き去りにされている印象を拭えません。
試験会場確保の難航と運営団体の苦悩
シンポジウムには文部科学省の担当者だけでなく、英検を運営する日本英語検定協会など5つの試験実施団体も出席しました。ここで浮き彫りになったのは、試験会場の確保という物理的な壁です。特に2020年は東京オリンピック・パラリンピックの開催と重なるため、会場の借用が極めて困難な状況にあります。実施団体側からは「全力で調整中だが正直言って苦戦している」という本音が漏れました。
ここで活用される「民間試験」とは、英検やGTECといった民間企業・団体が作成・運営する英語検定を指します。これまでのマークシート方式では測りきれなかった「話す・書く」というアウトプット能力を評価できるメリットがある反面、公的な入試としての公平性をいかに担保するかが最大の論点です。しかし、実施団体の足並みは揃っておらず、受験生への情報提供も遅れているのが実態と言えるでしょう。
大手ベネッセの欠席が残した波紋と今後の展望
今回のシンポジウムで波紋を呼んだのは、多くの受験生が利用すると予想される「GTEC」の運営元、ベネッセコーポレーションの欠席です。「現時点で公表できる新情報がない」という理由での辞退に対し、萩原会長は公的な役割を担う組織としての説明責任が果たされていないと、強い遺憾の意を表明しました。こうした不透明な対応が、学校現場や家庭の不信感をさらに増幅させているのは間違いありません。
編集者としての私見ですが、教育改革の理念そのものは否定されるべきではありません。しかし、2019年10月22日現在、あまりにも多くの課題が未解決のまま残されています。公平性が担保されない試験は、もはや選抜の道具としては機能しません。文部科学省には、現場の声に真摯に耳を傾け、生徒たちが安心して学業に専念できる環境を最優先に構築してほしいと切に願います。
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