シルクロードの青に染まる!ウズベキスタン伝統陶芸の魅力とイスラム守護聖者の絆

ユーラシア大陸の中央、かつてシルクロードの要衝として栄えたウズベキスタン。この地には、どこまでも高く透き通った乾いた空をそのまま映し出したかのような、鮮やかな「青」の陶器文化が息づいています。

鳥やザクロといった豊かな自然の恵み、そして流麗なアラビア文字を模した細密な文様。熟練の陶工たちが土から生み出す焼き物は、単なる生活雑器の枠を超え、人々の暮らしに彩りと深い喜びを添え続けてきました。

文化人類学者である私は、2002年よりこの地を訪れました。当初は旧ソ連崩壊後に復興の兆しを見せるイスラム信仰の実践に関心がありましたが、現地の生活に触れるうちに、その世界観を体現する陶芸の奥深さに心を奪われたのです。

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伝統技法「イシコール」を継承する職人の指先

私が滞在した東部のリシタンという町は、今も数千人が陶芸関連の仕事に携わる「陶職人の里」です。白地にコバルトブルーや緑で描かれる草木、あるいはナイフなどの具象的な図柄がこの地の特徴といえるでしょう。

リシタン陶芸の第一人者、ナジロフ・アリシェル氏は、旧ソ連末期の国営工場時代から伝統技法を学び抜いた人物です。特筆すべきは、砂漠の植物を使った「イシコール」と呼ばれる天然灰釉(かいゆう)の技法です。

「釉薬(ゆうやく)」とは陶磁器の表面を覆うガラス質の層のことですが、このイシコールは器を堅牢にするだけでなく、図柄に深みのある光沢を与えます。SNSでも「この吸い込まれるような青は唯一無二」と称賛の声が絶えません。

アリシェル氏は14世紀から16世紀のティムール朝時代の図柄を現代に蘇らせる一方で、日本の九谷焼の窯元で研修を行うなど、国際的な感性も持ち合わせています。伝統を重んじつつ進化を止めない姿勢には、深く感銘を受けます。

信仰が支えた千年の歴史と現代への復興

ウズベキスタンの陶芸は8世紀に遡ります。19世紀にはフェルガナ、ブハラ=サマルカンド、ホラズムという3つの主要な流派が確立されました。支配層だった遊牧民の「青い空(テングリ)」への崇拝が、この地の青色信仰の源流です。

しかし、その魅力は青だけではありません。ブハラ周辺では黄土色や茶色をベースに、赤や緑で幾何学模様をのびのびと描くスタイルも健在です。首都タシケントでは、遺跡の意匠を現代風に再現する試みも活発に行われています。

この芸術が途絶えなかった背景には、イスラム信仰に基づいた陶工たちの固い結束があります。彼らは中世以来、職業別のギルドを組織し、特定の聖者を守護者として祀ることで、門外不出の技法を大切に守り抜いてきたのです。

1991年の独立後、一時影を潜めていた守護聖者への信仰と共に、伝統陶芸は力強く息を吹き返しました。現在の窯元は観光客を温かく迎え入れ、製作現場の見学や即売も行っています。

私が2019年10月25日現在までに各地で見てきた光景を、一冊の紀行文にまとめました。現地の明るくおおらかな人々の心が宿る陶器のぬくもりを、ぜひ日本の皆様にも直接肌で感じていただきたいと切に願っています。

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