北海道の歴史を象徴する「赤れんが庁舎」の愛称で親しまれている北海道庁旧本庁舎が、大きな転換期を迎えています。鈴木直道知事は2019年11月22日に行われた定例記者会見において、現在予定されている改修工事の期間を、約1年ほど後ろ倒しにする方向で調整を進めていることを明らかにしました。
この決断の背景には、2020年に開催される東京五輪のマラソンおよび競歩の会場が、急遽札幌市に変更されたことが深く関わっています。世界中の注目が集まる大舞台において、北海道が誇る歴史的建造物をそのままの姿で披露したいという、知事の強い意欲が感じられる方針転換と言えるでしょう。
世界を魅了する美しい景観を維持するために
当初の計画では、建物の老朽化に対応するための大規模なリニューアルに向けて、2019年10月からすでに一般公開を休止していました。しかし、本来のスケジュール通りに工事を進めてしまうと、五輪開催時には建物全体が工事用のシートや足場に覆われ、その美しい外観が隠れてしまう恐れが出てきたのです。
赤れんが庁舎は、年間で約70万人もの人々が国内外から訪れる、北海道を代表する観光の拠点です。SNS上でも今回の発表に対し、「五輪の放送で映るなら、やはり美しい赤れんがが見たい」「工事中でがっかりする観光客が減るのは嬉しい」といった、景観維持を歓迎するポジティブな声が多く上がっています。
専門的な視点で見れば、今回の「工期延長」とは、単に作業を遅らせるのではなく、工事の着手時期を調整することを指します。文化財の保護と、観光資源としての活用をいかに両立させるかという、自治体にとって非常に難しい舵取りが求められている状況です。
もちろん、期間を延ばすことで発生しうる工事費の増大を懸念する意見も無視できません。これに対し、鈴木知事は「追加コストが極力発生しないよう工夫する」と述べていますが、この柔軟な対応は、札幌の魅力を世界に売り込む絶好のチャンスを逃さないための英断だと私は評価しています。
2020年の夏、テレビを通じて世界中に配信される札幌の街並みの中に、威風堂々とした赤れんが庁舎が映り込む光景が今から待ち遠しくてなりません。この決断が、大会後の北海道観光にさらなる追い風をもたらし、多くの人々を惹きつけるきっかけになることを切に願っています。
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