2019年11月24日に投開票が行われた香港区議会選挙において、民主派が議席の約8割を占めるという歴史的な大勝利を収めました。この結果は、半年以上にわたって続いている抗議デモに対する市民の強力な支持を証明する形となりました。しかし、この民意の噴出を受けてなお、香港政府の姿勢に大きな変化は見られません。
2019年11月26日、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は記者会見に臨みました。世界中がその発言に注目する中、林鄭氏はデモ隊が掲げる「五大要求」について、改めて「再考はしない」との方針を明言しました。選挙での惨敗という厳しい現実を突きつけられながらも、従来通りの強硬な姿勢を崩さない構えです。
ここで改めて整理しておきたいのが、市民が求めている「五大要求」の内容です。すでに政府は、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回には応じています。しかし、警察による行き過ぎた暴力行為を調査する独立委員会の設置や、トップを選ぶ「普通選挙」の導入といった残る4項目については、依然として拒絶が続いています。
ネット上やSNSでは、この会見を受けて「選挙の結果は何だったのか」「民意を無視し続けるのは限界がある」といった悲痛な声が溢れています。民主派が圧勝した直後だけに、政府の頑なな態度は火に油を注ぐ結果になりかねません。林鄭氏は政府の落ち度を認めつつも、具体的な譲歩を示さないという、非常に危ういバランスの上に立っているのでしょう。
理工大学の封鎖解除と中国政府との距離感
会見では、長期間の封鎖が続く香港理工大学についても触れられました。林鄭氏は立てこもる学生らに対し、投降すれば「すぐには逮捕しない」と述べ、速やかな退去を呼びかけています。人道的な配慮を見せることで事態の沈静化を図る狙いがあるようですが、警察への不信感が根強い現状では、対話による解決は容易ではないと予測されます。
また、今回の親中派の大敗を受けて、北京の中国中央政府から林鄭氏の責任を追及する声が上がっているとの報道も飛び交いました。これについて彼女は「事実ではない」と明確に否定しています。中央政府との強固な連携を強調することで、自身の求心力を維持しようとする意図が感じられますが、市民との溝は深まる一方だと言わざるを得ません。
編集者としての視点ですが、民主主義の根幹である選挙で示された圧倒的な民意を、ここまで真っ向から否定し続ける対応には強い違和感を覚えます。力による抑え込みではなく、市民が納得できる具体的な解決策を提示しなければ、香港の安定は遠のくばかりでしょう。今後の民主派勢力の反発や、国際社会からの圧力にも注視していく必要があります。
コメント