日揮HDが仕掛ける脱炭素戦略!EV性能を劇的に変える「魔法の基板」増産で収益安定へ

エネルギー業界の巨人、日揮ホールディングスが新たな挑戦へと舵を切りました。同社は2019年11月25日、電気自動車(EV)などの環境車に欠かせない「次世代半導体基板」の生産設備を新設すると発表したのです。約25億円という巨額投資の背景には、世界中で加速する脱炭素社会への期待があります。

今回のプロジェクトを主導するのは、日揮グループ傘下の日本ファインセラミックス(JFC)です。宮城県富谷市にある事業所内に、約3000平方メートルの広大な工場棟を建設します。2019年11月18日には既に地鎮祭を終えて着工しており、2020年9月の稼働開始を目標に急ピッチで準備が進められています。

SNSでは「プラント建設の日揮が半導体分野でこれほど攻めるとは意外だ」「EVの心臓部を支える技術に注目したい」といった驚きと期待の声が広がっています。本業のプラント建設は景気や原油価格に左右されやすい側面があるため、この電子材料事業が経営を支える「第二の柱」として育つことに投資家も熱い視線を送っているのでしょう。

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熱に負けない「窒化ケイ素」がEVの未来を切り拓く

今回の設備投資で量産されるのは、パワー半導体と呼ばれる部品の土台となる基板です。パワー半導体とは、大きな電力を制御したり変換したりする「電力の交通整理役」のような役割を果たします。EVがより長く、より力強く走るためには、この部品が大量の電流に耐え、効率よく動くことが不可欠なのです。

これまでの基板は酸化物を用いていましたが、電流を増やすと熱で壊れやすいという弱点がありました。そこでJFCは、ボールベアリングにも使われるほど頑丈で熱に強い「窒化ケイ素」を採用したのです。これにより、従来の10倍もの電流を流しても耐えうる驚異的なタフさを実現したことは、まさに技術革新と言えるでしょう。

JFCはこの夢の素材を、2009年から産業技術総合研究所と共同で研究してきました。10年近い歳月をかけて2016年に開発に成功し、ようやく量産体制へと漕ぎ着けたのです。一朝一夕には真似できない日本企業の粘り強い技術力が、欧州を中心とした世界の環境車市場を席巻する日が待ち遠しいですね。

5GとEVの両輪で挑む日揮HDの新時代

日揮ホールディングスは、2019年10月に持ち株会社体制へと移行したばかりです。新体制下では、JFCが担うような製造業をプラント事業と並ぶ中核事業と位置づけています。実は、同社はこれ以外にも40億円を投じて「5G」向け基板の増産も進めており、先端技術分野への投資を加速させている状況です。

2018年度のグループ営業利益において、材料製造事業はすでに約3割を占める重要な稼ぎ頭となっています。変動の激しいプラント建設の収益を、利益率が高く需要が安定している電子材料で補う戦略は、非常に合理的で賢明な判断だと私は考えます。技術力でリスクを分散する姿は、日本企業の理想的な進化形ではないでしょうか。

新工場は50〜70人体制でスタートし、年間200万枚の生産を目指します。2024年ごろにはさらなる増強も視野に入れているとのことで、その成長スピードには目を見張るものがあります。日揮HDが「エンジニアリングの枠」を超え、世界の環境・通信インフラを支える素材メーカーへと飛躍する瞬間に、私たちは立ち会っているのです。

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