微笑みの国として知られるタイにおいて、人々の生活に深く根付いている娯楽といえば「宝くじ」ではないでしょうか。実はこの宝くじ、単なる国民の楽しみという枠を超え、国家の財政を支える極めて重要な役割を担っているのです。
2019年11月09日現在のデータによれば、宝くじの販売を統括する「政府宝くじ事務局(GLO)」が国庫へ納付した金額は、年間で419億バーツに達しています。日本円に換算すると約1500億円という、途方もない数字が政府の懐を潤しているのです。
驚くべき事実は、この納付額が数ある国営企業の中で堂々の首位に輝いている点でしょう。タイのエネルギーを支える巨大組織、タイ石油公社(PTT)を抑えてのトップ当選であり、まさに「ガスよりも宝くじ」という現状が浮き彫りとなっています。
庶民の夢が国を動かす?タイの宝くじ熱狂の裏側
タイの宝くじは、1口あたり概ね80バーツ(約280円)前後で販売されています。庶民にも手が届きやすいこの金額が、一獲千金を夢見る国民の心を強く掴んで離しません。道端の屋台や歩き売りの販売員から手軽に購入できる利便性も、人気を加速させています。
SNS上では、当選番号の発表日になると「今日は仕事が手につかない」「当選して仕事を辞めたい」といった投稿が相次ぎ、お祭り騒ぎのような盛り上がりを見せています。中には当選を願ってパワースポットを巡る様子をアップするユーザーも少なくありません。
ここでいう「国庫納付金」とは、国営企業が上げた利益の中から、税金とは別に政府へ支払うお金を指します。いわば、国民が夢を買うために支払った代金の一部が、巡り巡って道路の整備や社会福祉といった公共サービスへと還元されているのです。
個人的な見解を述べさせていただくと、娯楽を通じた資金調達は非常にスマートな仕組みに思えます。増税のような痛みを伴わず、楽しみながら自然と公共利益に寄与できるシステムは、タイという国の持つバイタリティと国民性の賜物と言えるでしょう。
しかし、一方で特定の国営企業に財源を依存しすぎる危うさも孕んでいるはずです。今後、タイがより持続可能な経済成長を目指す上では、こうした射幸心に頼る部分だけでなく、多角的な産業振興とのバランスをどう取るかが鍵となるでしょう。
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