スペインのマドリードで開催されているテニスの国別対抗戦、デビスカップは2019年11月21日、日本代表にとって試練の結果となりました。1次リーグでフランスとセルビアという強豪国を相手に奮闘したものの、決勝トーナメント進出を逃す敗退が決まっています。エースの錦織圭選手を欠くという苦境の中で、若き侍たちが直面したのは、技術を超えた先にある「経験」という巨大な壁でした。
初戦のフランス戦では接戦を演じましたが、続くセルビア戦では0対3という完敗を喫しています。特に注目を集めたのは、世界ランキング2位のノバク・ジョコビッチ選手と、日本の西岡良仁選手の対決でしょう。西岡選手は、前日のフランス戦で世界10位のガエル・モンフィス選手を撃破するという金星を挙げていただけに、大きな期待がかかっていました。しかし、絶対王者の壁は想像以上に厚かったのです。
西岡選手は試合後、四大大会で16勝を誇るジョコビッチ選手の異質な強さに驚きを隠せませんでした。これまで対戦してきたフェデラー選手やナダル選手とも異なる、独特の「やりにくさ」を感じたそうです。SNS上では「西岡の粘りを持ってしても届かないのか」「ジョコビッチが精密機械すぎる」といった驚嘆の声が溢れ、改めて世界トップ10のレベルの高さが浮き彫りとなりました。
この「デビスカップ」という大会は、100年以上の歴史を持つ伝統あるテニスの団体戦です。2019年から大会方式が刷新され、18カ国が一堂に会して優勝を争うワールドカップ形式となりました。これにより、以前のホーム&アウェー方式よりも、短期間で多くの強豪国と対戦できる機会が増えています。敗北は重い事実ですが、選手たちにとってはまたとない修行の場となったはずです。
試合の内容自体は決して一方的なものではありませんでした。ダブルスに挑んだ内山靖崇選手も、プレーの質においては引けを取っていないという手応えを感じつつ、肝心な場面での判断力、いわゆる「場数の差」に悔しさを滲ませています。勝利への執着心や勝負所を見極める眼力は、こうした最高峰の舞台で揉まれることでしか養われない、テニスにおける極めて重要な無形の財産だと言えます。
岩渕聡監督は、この1次リーグ敗退という結果を前向きに捉えています。選手たちが強豪との対戦で得た教訓を、2020年以降のツアー戦に繋げてくれることを確信しているようです。私自身、錦織選手不在の中で西岡選手や内山選手が示した意地は、日本テニス界の層の厚さを証明したと感じます。この敗北は決して無駄ではなく、むしろ新時代の幕開けに必要な通過点だったのではないでしょうか。
コメント