2019年11月07日、山口県山口市に拠点を置く1902年創業の老舗、木原製作所が食品加工業界で快進撃を続けています。かつて葉タバコの乾燥機で国内トップシェアを築いた同社は、その精密な技術を食品乾燥機へと見事に転用しました。現在では国内のみならず、タイやロシアといった海外市場の開拓にも果敢に挑んでおり、売上高の10%を海外から獲得するという野心的な目標を掲げています。
SNS上では、伝統的な「天日干し」から「機械乾燥」への移行に対し、「天候に左右されない安定感は農家にとって救世主だ」「機械なのに黄金色の仕上がりになるのは驚き」といった称賛の声が上がっています。特に後継者不足や衛生管理の厳格化に悩む生産現場にとって、木原製作所のテクノロジーは、地域の特産品を守り抜くための「希望の光」として熱烈な支持を集めているようです。
「温度」だけじゃない!美味しさを封じ込める「湿度制御」の魔法
木原製作所の乾燥機が他社と一線を画す最大の理由は、独自の「湿度制御(しつどせいぎょ)」技術にあります。一般的な乾燥機は熱風で一気に水分を飛ばそうとしますが、これでは表面だけが乾きすぎてしまい、素材が縮んだり変色したりしてしまいます。しかし、同社の製品は機内の湿度を緻密にコントロールすることで、素材の表面と内部をバランス良く乾燥させ、形や色を美しく保つことができるのです。
この技術のルーツは、日本専売公社(現在の日本たばこ産業)との共同研究にあります。2006年に開発されたシイタケ乾燥機では、温風を循環させることで燃費を70%も向上させ、さらには自動制御によって農家の作業負担を劇的に軽減しました。広島県食品工業技術センターの担当者も、水分が多く変色しやすい果物であっても、鮮やかな色味を維持したまま仕上げられるその実力を高く評価しています。
宮崎の切り干し大根からタイの果物まで!世界へ広がる乾燥革命
2019年12月からは、切り干し大根の生産量日本一を誇る宮崎県でも、JA宮崎経済連の出資会社が木原製作所の乾燥機を本格導入し、機械乾燥への移行をスタートさせます。また、茨城県の干しイモ生産者の間でも、近年の「黄金色の干しイモ」への嗜好変化に合わせて、仕上がりの早い同社の乾燥機が急速に普及しています。伝統を守りつつも、消費者のニーズに即座に応える柔軟な姿勢が、同社の強みと言えるでしょう。
木原康博社長は、自社製品で仕上げた乾燥サンプルの圧倒的な美しさが、海外でも強力な武器になると確信しています。今年、タイやロシアの企業と代理店契約を結んだことで、山口発の技術が世界の食卓を彩る準備は整いました。一メディア編集者として私は、100年以上の歴史を持つ老舗が、その核となる技術を現代の課題解決へと昇華させたこの挑戦に、日本のものづくりの真髄を見出しています。
2019年08月期の売上高は11億8000万円に達し、食品乾燥機、葉タバコ関連、その他の事業がバランス良く収益を支えています。技術に裏打ちされた「確かな仕上がり」は、言葉の壁を越えて世界中の生産者に届くはずです。気候変動や労働力不足という難題に対し、老舗企業の知恵がどのように食の未来を形作っていくのか、同社の飽くなき挑戦から今後も目が離せそうにありません。
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