かつらメーカーと言えば、特定の悩みを持つ方向けのサービスという印象が強いかもしれません。しかし2019年11月29日現在、業界の勢力図は劇的な変化を遂げています。国内市場の中長期的な縮小を見据え、アデランスやアートネイチャー、スヴェンソンといった大手各社が、化粧品や家電、さらにはスポーツカフェといった新領域へ怒濤の進出を果たしているのです。
SNSでは「アデランスがコスメ?意外だけど品質が良さそう」「卓球ができるカフェなんて面白い」といった、従来のイメージを覆す展開に驚きの声が上がっています。特に関心を集めているのが、アデランスが2019年9月に立ち上げた初の化粧品ブランド「ビューステージコスメティック」です。40代前後の女性をターゲットに、徹底して肌への優しさを追求したラインナップが支持されています。
シャープとタッグ!頭皮ケア家電から発毛剤まで
アデランスの攻勢は美容液だけに留まりません。2019年10月には、シャープの独自技術「プラズマクラスター」を搭載した斬新なヘアケア家電を発売しました。これはイオンの力で頭皮の潤いを保ち、余分な皮脂を抑える効果が期待できるもので、家電を通じた健康事業での売上拡大を狙っています。大手家電メーカーとの協業は、信頼性と革新性を同時にアピールする強力な戦略と言えるでしょう。
一方のアートネイチャーも、2019年12月から待望の第1類医薬品となる発毛剤「LABOMO ヘアグロウ ミノキシ5」を自社サイトで販売開始します。ここで言う「第1類医薬品」とは、一般用医薬品の中でも特に薬剤師による適切な情報提供が必要とされる、効果が高いとされる薬を指します。これまでの育毛剤から一歩踏み込み、医学的根拠に基づくケアを提案することで、新規顧客の獲得に繋げる構えです。
卓球で健康をプロデュース?スヴェンソンのユニーク戦略
さらに異彩を放っているのがスヴェンソンです。2019年8月、大阪のJR難波駅近くに卓球が楽しめる飲食店「T4カフェナンバ」をオープンさせました。かつらのメンテナンスだけでなく、運動を通じた健康増進を提案するこの施設は、働き方改革で余暇を楽しむ会社員や訪日外国人観光客の間で早くも話題となっています。スポーツという切り口で、幅広い層との接点を作ろうとする試みは非常にユニークです。
編集者としての私の視点では、各社のこうした多角化は単なる生き残り策を超えた「ブランドの再定義」だと感じます。髪の毛だけでなく、美容、健康、そして遊びといった生活全般をサポートする企業へと進化することで、少子高齢化という逆風を跳ね返そうとする力強い意志が伝わってきます。専門技術を横展開し、新たな市場を切り拓くこの動きは、他の伝統産業にとっても大きなヒントになるに違いありません。
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