2019年11月27日、アメリカの政治・軍事界に大きな衝撃が走りました。リチャード・スペンサー前海軍長官が、米有力紙ワシントン・ポストへの寄稿を通じて、軍の最高司令官であるトランプ大統領を痛烈に批判したのです。
スペンサー氏はその中で、大統領が「軍という組織の仕組みやルールをほとんど理解していない」と指摘しました。一国の軍事力を司るトップが、現場の論理を軽視しているという訴えは、安全保障の根幹を揺るがす異例の事態といえるでしょう。
軍の「司法制度」を巡る深刻な対立の背景
今回の騒動の引き金となったのは、過激派組織ISの掃討作戦に従事した海軍特殊部隊(SEALs)隊員の処遇でした。軍規違反に問われた隊員に対し、トランプ大統領が介入して恩赦を与えたことが、組織内に大きな波紋を広げたのです。
「軍司法制度」とは、軍人特有の犯罪を裁くための特別な法律体系のことです。スペンサー氏は、大統領の行動がこの独立した司法手続きを妨げ、部隊の秩序を破壊しかねないと危惧しています。現場の規律を守る側の長官としては、見過ごせない一線だったのでしょう。
SNS上では「軍の規律を尊重すべきだ」という意見がある一方で、「大統領には最終的な決定権がある」といった擁護の声も散見されます。しかし、最高司令官が専門的な軍の慣習を無視することへの不安が、国民の間で急速に広がっているのは事実です。
編集部が考える「最高司令官」の在るべき姿
私たちが注目すべきは、単なる個人間の衝突ではなく、シビリアン・コントロール(文民統制)の危うさです。政治が軍をコントロールすることは民主主義の基本ですが、それは軍の専門性や倫理観を尊重した上で行われるべきものではないでしょうか。
スペンサー前長官の告発は、組織の誇りと正義を天秤にかけた苦渋の決断だったと推察します。大統領が個別の司法判断に介入し続けるようであれば、軍の士気低下は避けられません。今後、トランプ政権が軍との信頼関係をどう修復するかが焦点となるでしょう。
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