2019年09月、日本の金融界を牽引する幹部やエコノミストたちが、驚天動地の変化を遂げる北欧の地を訪れました。大和総研理事長の中曽宏氏が目撃したのは、私たちが抱く「銀行」の概念を根底から覆すような、圧倒的なスピード感で進む技術革新の姿です。
この変革の中心にあるのは「オープンAPI」という仕組みでしょう。これは、銀行が自社のシステムを外部のフィンテック企業に開放することを指します。これまで閉鎖的だった銀行の機能が、IT技術を駆使する新興勢力と結びつくことで、想像もつかない利便性が生まれようとしています。
SNS上では「銀行の形がガラリと変わる予感がする」「日本も早く追いついてほしい」といった、期待と驚きが混じった声が数多く上がっています。フィンテックという言葉が一般的になりつつある今、金融の風景がまさに塗り替えられようとしている瞬間を、私たちは目撃しているのです。
フィンテックが変える3つの共存スタイル
北欧で展開されている新しい金融の姿には、大きく分けて3つのタイプが存在します。まず一つ目は、銀行のサービスをフィンテック企業が顧客に届ける形です。銀行口座をすぐに作れない移住者などに対し、スマホアプリを通じてモバイル口座を提供し、給与を電子マネーで受け取る仕組みが整っています。
二つ目は、フィンテック企業が生み出した画期的なサービスを、銀行が自らの商品として顧客へ案内するスタイルです。たとえば、オンラインで瞬時に完了する「生体認証」技術などが挙げられます。指紋や顔認証など、身体の一部を用いて本人確認を行うことで、手続きの簡略化と安全性を両立させているのです。
最後は、銀行が単なる「場(プラットフォーム)」となり、多種多様な企業のサービスを自由に選べるようにする形態です。これらは銀行を、従来の預金場所から「サービスの中継地点」へと進化させています。各社が得意分野を活かすことで、利用者にとって最も使いやすい環境が構築されています。
日本が歩むべきフロンティアへの挑戦
さらに興味深いのは、かつての宿敵同士だった銀行が手を取り合い、共通の送金アプリを作り上げた事例です。これにより、消費者はどこでも快適に支払いができ、銀行側はATMや店舗の維持費を大幅に削減できます。これは、異業種から決済市場に参入してくる巨大企業への対抗策でもあるでしょう。
2019年11月29日現在、日本国内でもこうしたオープンAPIを推進するためのルール作りが急ピッチで進められています。もちろん、コスト面やセキュリティの確保において関係者の間で議論があるのは事実です。しかし、一度勢いづいた技術革新の奔流を止めることは、もはや誰にもできません。
私は、日本が北欧のような活力を得るためには、過去の成功体験に縛られない「勇気あるリーダーシップ」が不可欠だと確信しています。変化を恐れて波に飲まれるのではなく、自ら波頭に立ち、未知の領域を切り拓く精神こそが、明日の日本の金融を輝かせる鍵となるはずです。
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