2018年09月に国内で再び確認されて以降、豚コレラ(CSF)の猛威が止まりません。2019年11月末の時点ですでに1府8県の養豚場へと被害が広がっており、現場は深刻な緊張感に包まれています。
この流行の背後には、野生イノシシによるウイルス拡散が大きく関わっていると考えられています。動物生態学の第一人者である農研機構の平田滋樹氏は、かつてないほどに増えすぎたイノシシの個体数が、感染長期化の主因であると警鐘を鳴らしています。
SNS上では「いつになったら収束するのか」「ジビエ料理への影響は?」といった不安の声が後を絶ちません。今回は、私たちが直面している家畜伝染病の真実に迫ります。
なぜ今、イノシシがこれほどまでに増え続けているのか
環境省のデータによると、1990年代前半には年間10万頭未満だったイノシシの捕獲数が、近年では約50万頭にまで急増しています。これほどまでに数が増えた理由は、かつての里山の風景が変わってしまったことにあります。
高度経済成長期を境に耕作放棄地が増加し、イノシシにとって格好の隠れ家や餌場が広がりました。かつて人間が管理していた境界線が曖昧になり、彼らが自由に動き回れる領域が拡大したことが、数十年の時を経て現在の「爆発的増加」を招いたのです。
個体数が増えれば、イノシシ同士の接触機会も当然増えます。その群れの中にひとたびウイルスが入り込めば、連鎖的な感染を食い止めるのは容易ではありません。
日本独自のモデル構築と「根気強い対策」の必要性
豚コレラとは、強い感染力を持つウイルス性の疾病ですが、人に感染することはありません。しかし、撲滅には長い年月を要します。先行して清浄化に成功したドイツでは、なんと20年もの歳月を費やしたという厳しい現実があります。
欧州と異なり、日本の地形は険しく山奥での捕獲は困難を極めます。そのため、経口ワクチンを混ぜたエサの散布など、日本特有の環境に適した「最適解」を地域ごとに模索している段階です。
私は、この問題は決して養豚家だけの課題ではないと考えます。国や自治体の主導はもちろんですが、特定の誰かに責任を押し付けるのではなく、社会全体で防波堤を築く姿勢が、今まさに試されているのではないでしょうか。
キャンプの残飯がリスクに?私たちにできる小さな協力
「自分には関係ない」と思うかもしれませんが、実は私たちの日常生活の中にも対策のヒントが隠されています。キャンプ場での残飯放置や、生ごみの不適切な管理は、野生動物を人間の居住エリアへ誘い込む最大の要因です。
周辺の草刈りを徹底し、見通しを良くすることも、イノシシを近寄らせないための有効な手段となります。現場で奮闘する作業者や農家の方々を支援するためにも、まずは正しい知識を持ち、動物とのあつれきを減らす努力が必要です。
現在流行しているCSFへの対策を検証し、確かな手法を確立することは、将来的に懸念される「アフリカ豚コレラ」などの更なる脅威を防ぐための、極めて重要な備えとなるでしょう。
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