富山県立山町、富山市から立山黒部アルペンルートへと続く道すがらに、思わず目を疑うような個性的なサンドイッチを販売しているコンビニエンスストアがあります。その名も「立山サンダーバード」。店頭に並ぶサンドイッチの具材は、通常はパンに挟まれることのない「おでん」や「オムライス」、さらには「みたらし団子」など、常識を打ち破るラインナップばかりで、初めて訪れる人を驚かせてくれるに違いありません。
この異色のサンドイッチは、SNS(交流サイト)映えを意識して開発された商品であり、そのユニークさから口コミで広がり、現在では「話のタネに一度見てみたい」「食べてみたい」と立ち寄る観光客が急増しているようです。立山黒部アルペンルートの玄関口であるケーブルカー立山駅へ向かう県道6号線沿いに位置し、ひときわ目を引く黄色の看板が目印となっています。
店内の棚には、「冷やし中華」や「天ぷら」といった意外な具材を挟んだ商品が所狭しと並べられており、そのバリエーションの豊かさに選ぶ楽しさがあるでしょう。この変わり種サンドの開発を始めたのは、今から約5年ほど前のこと。伊藤敬一さん・三知子さん夫妻と、息子の敬吾さんが営むこのお店では、以前から弁当の調理と配達を行っていましたが、雪の降る時期の作業の辛さから、「何か楽しいことにチャレンジしよう」という敬吾さんの発案で、新たな試みがスタートしました。
変わり種サンドを試作し、その写真をフェイスブックに投稿したところ、予想を上回る大きな反響があったそうです。以来、これまで販売された商品の種類は約200種類にものぼるといいます。中には、チャーハンや富山名産のホタルイカなど、お客様に大変喜ばれた成功例もあれば、綿あめやかき氷のように、サンドイッチとしては残念ながらうまくいかなかった挑戦的なメニューもあったようです。
開発を担当しているのは、弁当作りで長年培ってきた味付けのセンスを持つ敬吾さんです。試作された商品は、ご夫妻を含めた3人で試食し、実際に店頭で販売するかどうかが決められるというプロセスを踏んでいます。このサンドイッチは、単なる奇抜さを追求するだけでなく、弁当屋としての確かな「味」の土台があるからこそ、多くの人々の関心を集めているのでしょう。価格はすべて290円(税込)という手頃さも魅力の一つです。
筆者も実際に4種類のサンドイッチを購入し、同僚とともに試食してみました。特に印象的だったのは「おでん」サンドで、ゴボウ入りの練り物などが赤味噌のタレでしっかりと味付けされており、まさに和風のおでんの風味がパンと絶妙にマッチしています。「冷やし中華」は、ベビースターラーメンとゆで卵、エビが挟まれており、同僚が「これはうまい!」と手放しで絶賛するほど、意外な組み合わせが美味しさを引き立てていました。
また、「フラ団」と名付けられたサンドイッチは、みたらし団子とフランクフルトという甘じょっぱい組み合わせが特徴です。記者は団子とフランクフルトの部分を交互に食べることで、甘みと塩味のハーモニーを楽しめましたが、同僚は同時に頬張ったためか、やや複雑な表情を見せていました。このように、同じ商品でも食べ方によって感想が変わるのも、このサンドイッチの醍醐味と言えるでしょう。お客様の中には、実際に購入せず写真だけを撮って帰る方も多いそうですが、オーナーの敬一さんは「他のお店では見かけないグルメを発見したと、純粋に楽しんでくれたらそれで良い」と鷹揚に構えていらっしゃいます。
私は、この「立山サンダーバード」の変わり種サンドは、現代のシェア文化と旅の思い出を見事に融合させた、非常に画期的な商品だと考えます。サンドイッチという身近な食べ物をキャンバスに、誰もが驚き、話したくなるような「物語」を生み出すことで、お店とお客様の間に強い結びつきを生んでいます。旅の途中で、このユニークなサンドイッチを仲間とシェアし、味の感想を語り合うことで、立山黒部アルペンルートへの道中が、より一層記憶に残る楽しい体験になることは間違いないでしょう。
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