音楽史にその名を刻む伝説のバンド、ビートルズ。その中心人物であったジョン・レノン氏がかつて愛用していたサングラスが、2019年12月13日にロンドンで開催されたオークションに出品され、世界中の注目を集めました。驚くべきことに、その落札価格は13万7500ポンド、日本円にして約2000万円という破格の金額に達しています。
このアイテムは、ジョン氏の象徴とも言える「ティーシェード」と呼ばれる丸形のデザインで、レンズは独特の緑がかった色味を帯びています。1960年代のサイケデリックな文化を象徴するような逸品ですが、特筆すべきは、このサングラスが「壊れた状態」のまま保管されていたという点でしょう。
「直さなくていい」ジョンが語ったファッションの真髄
このサングラスを所有していたのは、当時ビートルズのメンバーの運転手を務めていたアラン・ハリング氏です。物語の始まりは1968年の夏にさかのぼります。リンゴ・スター氏の車の後部座席に、ジョン氏がうっかりこのサングラスを置き忘れていったことが全てのきっかけでした。
ハリング氏は、金色のフレームからレンズが外れていることに気づき、ジョン氏に「修理しましょうか?」と尋ねました。しかし、ジョン氏は「そのままでいいよ」と答えたそうです。彼は完璧な状態よりも、その時のスタイルや空気感を大切にする、まさに「粋」な美学を持っていたのでしょう。
このエピソードが報じられると、SNS上では「壊れていても価値があるのではなく、ジョンが触れた歴史そのものに価値がある」といった感動の声が広がりました。また、「修理を断るあたりがジョンらしい」と、彼の飾らない人柄を懐かしむファンも多く、投稿は瞬く間に拡散されています。
編集者としての私の視点では、今回の高額落札は単なるメモラビリア(歴史的遺品)の売買を超えた現象だと感じます。壊れたままのサングラスに2000万円の値がつくのは、彼が遺した音楽とメッセージが、2019年12月現在もなお人々の心に強く生き続けている証拠ではないでしょうか。
落札者の正体は明かされていませんが、この傷ついたレンズ越しにジョンが見ていた世界に、誰もが思いを馳せずにはいられません。形あるものは壊れますが、彼が確立したスタイルや、修理を不要とした自由な精神は、これからも色褪せることなく語り継がれていくことでしょう。
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