新しい時代の幕開けを迎え、子どもたちに本当に残したい歌を選ぶという、心躍る試みがインターネット上で大きな注目を集めています。ツイッター(現在のX)を中心に広がっている「令和版百人一首リレー」の輪が、今まさに日本中の文芸ファンを巻き込んで熱く燃え上がっているのです。
このプロジェクトは、教師たちの熱意あるアイデアに著名な作家や漫画家が次々と賛同したことで、大きなムーブメントへと発展いたしました。すでに新旧織り交ぜた約70首の素晴らしい歌が集まっており、どのような百人一首が完成するのか期待に胸が膨らみますね。
ネット上でも「自分の推しの歌を推薦したい」「現代の歌が百人一首になるなんてワクワクする」といった歓喜の声が溢れており、トレンドを賑わせています。もしかすると未来の子どもたちは、ロックバンドの歌詞や最先端の人工知能が紡ぎ出した言葉でかるた遊びに興じているのかもしれません。
この素敵な企画のきっかけを作ったのは、埼玉県で家庭教師をされている馬込理貴人さんです。小倉百人一首をすべて暗記してしまったという中学3年生の愛娘のために、2019年6月に彼がツイッター上へ投稿した素朴な呼びかけがすべての始まりでした。
「古文の先生方、令和版の百人一首を作ってみませんか」という一言に多くの教育関係者が敏感に反応し、1人1首を選んで次の選者を指名するリレー形式が誕生したのです。ルールは「小倉百人一首に未収録であること」や「作者の重複を避けること」など、非常に明快なものとなっています。
ときにはバトンが途切れそうになる窮地を乗り越えながら、リレーの輪は学校の教室を飛び越えて文化人たちへと一気に拡大していきました。大人気かるた漫画『ちはやふる』の作者である末次由紀さんをはじめ、町田康さんや詩人の伊藤比呂美さんといった豪華な顔ぶれが参加しています。
時代とジャンルを超越した言葉の響き
さらに、47人目の選者となった作家の高橋源一郎さんは、大正時代にアナキスト(国家や権力を否定し個人の自由を尊ぶ思想を持つ人)として知られた金子文子の短歌をセレクトしました。真白な朝鮮服を身にまとい、自らの心を見つめる寂しさを詠んだ歌は、強烈な印象を放ちます。
いにしえの紫式部や在原業平といった平安の歌人から、宮沢賢治や寺山修司、そして現代を代表する俵万智さんまで、選ばれた作者の背景は驚くほど多彩です。人気ロックバンド「amazarashi」の楽曲までがラインナップに含まれており、ジャンルの垣根を超えた表現が並びます。
かつて鎌倉時代に藤原定家がひとりで編纂した小倉百人一首には、一貫した美意識による統一感が美しく宿っていました。しかし、現代を生きる大勢の知性がリレー形式で選び出す令和の百人一首には、それぞれの選者が込めた独自の推薦理由や解釈の面白さが満ちあふれています。
ひとつの価値観に縛られることなく、多様な歌が集まるプロセスそのものが、まさに現代という時代を象徴していると言えるでしょう。古典を身近に引き寄せ、新しい文化をみんなで創り上げていくこの試みは、教育の現場や文学の世界に新しい風を吹き込むに違いありません。
コメント