電気自動車(EV)の世界最大手であるアメリカのテスラが、新たな快挙を成し遂げました。2020年1月7日、中国の上海工場で組み立てられた小型セダン「モデル3」の納車がついに始まったのです。これまでブランド志向が強い富裕層の乗り物だった同社製品ですが、現地生産による恩恵を受け、一般の中間層へとファンを急拡大させています。SNS上でも「一般庶民でもテスラに乗れる時代が来た」「上海工場の爆速立ち上げは異次元すぎる」といった驚きと期待の声が溢れており、その注目度の高さがうかがえるでしょう。
テスラの中国市場における成長力は、専門家の予測を遥かに凌駕しています。イギリスの調査会社であるLMCオートモーティブによると、3年後の中国国内における販売台数は、2019年の見通しと比較して3倍にまで膨れ上がる見込みです。さらに現地での生産ラインには、小型の多目的スポーツ車(SUV)である「モデルY」も追加される予定となっています。この勢いを見れば、テスラが中国のEV市場における主導権を完全に握る未来も、そう遠くはないと感じさせられますね。
今回のブームを牽引しているのが、2019年から本格的に市場へ投入されたモデル3です。これまでの高級モデルは日本円で1000万円を大幅に超える高嶺の花でしたが、この新型車の登場により状況が一変しました。現地の消費者が手軽に購入できる価格帯へシフトしたことで、一般の家庭でも購入を検討する人が急増しています。実際に重慶市の国有企業で働く40代の男性は、2019年11月に手付金を支払い、2020年1月中旬の納車を心待ちにしていると満面の笑みで語ってくれました。
専門家は、中国メーカーのEVがタクシーや相乗りを目的としたライドシェア向けに普及しているのに対し、テスラは純粋に個人の心を掴んでいると分析します。洗練されたデザインや最先端の技術が、流行に敏感な中国の消費者に「ハイテクブランド」として深く認知されているのでしょう。既存の自動車という概念を覆すようなガジェット感こそが、テスラ最大の武器であると言えます。他社の追随を許さない圧倒的なブランド力は、市場で唯一無二の輝きを放っている印象です。
驚くべきは、上海工場の建設開始からわずか10ヶ月という異例のスピードで稼働に漕ぎ着けた点でしょう。現時点での部品の現地調達率は30%に留まるものの、中国政府の優遇措置により自動車取得税が免除され、手厚い補助金も適用されています。これにより、販売価格は30万元(約470万円)を下回る水準まで引き下げられました。さらに同社は、2020年末までに部品の調達率を100%にする計画を掲げており、今後のさらなるコスト削減にも期待が膨らみます。
最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が中国政府と良好な関係を築いていることも、追い風となっています。外資系自動車メーカーとして初めて全額出資の工場設立を認められた背景には、こうした巧みな政治的手腕があるのでしょう。これまで高級輸入車の購入を躊躇していた公務員などの層も、今では安心してテスラを選べる環境が整っています。国を挙げたバックアップ体制があるからこそ、テスラは中国という巨大市場で強気な攻めの姿勢を貫けるのです。
2020年の中国新車市場は景気減速の影響を受け、3年連続で前年割れするとの予測が広がっています。しかし、高級車セグメントやテスラのような強力なブランドは、逆風を跳ね返すだけの底力を持っています。ライバルとされる中国の新興EVメーカーが車両の発火事故などで信頼を落とす中、品質管理さえ徹底できれば、テスラの独走態勢はしばらく続くでしょう。時代の転換点を迎えた自動車業界で、テスラがどのような景色を見せてくれるのか非常に楽しみです。
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