中東情勢の緊張緩和や米中貿易協議の進展への期待から、2020年1月13日のニューヨーク株式市場は小幅に反発しました。しかし市場の視線は、同日に新最高経営責任者に就任したデビッド・カルホーン氏率いるボーイング社に注がれています。不祥事が相次ぐ同社ですが、新トップは信頼回復を誓う声明を発表しました。新体制への移行によって、山積する課題の解決に向けた第一歩が踏み出されたと言えます。
しかし、前経営陣が恐れていた事態はすでに現実のものとなっています。運航再開の遅れから、主力小型機「737MAX」の生産は2020年1月から停止されました。この影響は、航空機製造に関わる企業が結ぶ複雑な協力関係のネットワークである「サプライチェーン(供給網)」を直撃しています。SNS上でも「大手メーカーの減産は下請け企業の死活問題だ」と、波及効果を懸念する声が数多く上がっています。
実際に、機体の大部分を供給する主要部品メーカーのスピリット・エアロシステムズは、2020年1月10日に従業員2,800人の一時解雇を発表しました。在庫が膨らみ生産維持が困難になったためです。この深刻な事態を受け、同社の株価は2020年1月13日に約3%下落しました。今回のリストラは、航空宇宙産業全体の生産正常化には少なくとも半年以上の長い時間がかかることを、市場に強く印象付ける結果となっています。
さらに、部品大手のウッドワードとヘクセルが2020年1月12日に合併を発表した背景にも、この冷え込む市場環境への危機感があると指摘されています。一度止まった製造ラインを元のペースに戻すには、1年以上を要するという厳しい見方もあります。新経営陣は、自社の立て直しだけでなく、苦境に立たされる部品メーカーへの支援という重い課題にも直面しており、今後の舵取りには極めて慎重な判断が求められるでしょう。
コメント