アパレル業界の巨頭、ユニクロを展開するファーストリテイリングが、物流の常識を覆す壮大なプロジェクトへと舵を切りました。2019年11月13日、同社は日本とフランスが誇る精鋭ロボットベンチャー2社とパートナーシップ契約を締結したと発表。これは、すでに物流大手のダイフクと進めている倉庫全自動化の動きを、さらに一段上のフェーズへと引き上げる決定打となるでしょう。
SNS上では「ついに衣類までロボットが扱う時代か」「ユニクロのスピード感が恐ろしい」といった驚きの声が広がっています。これまで、形が定まらず柔らかい衣料品はロボットにとって「天敵」とも言える難所でした。しかし、今回の提携によって、人の手に頼らざるを得なかったピッキング作業の完全自動化が、いよいよ現実味を帯びてきたのです。
今回、そのパートナーに選ばれたのは、ロボットの「脳」とも言える高度な制御システムを開発する東京の「MUJIN」と、縦横無尽に動く小型ロボットで物流効率を最大化するフランスの「エグゾテック・ソリューションズ」です。両社ともに創業10年未満の若い企業ですが、柳井正会長兼社長は「これから爆発的に成長する存在」と、その技術力に絶大な信頼を寄せています。
世界78拠点を網羅する1000億円規模の「次世代サプライチェーン」
ファーストリテイリングが掲げる目標は、日本や中国、米国など世界19カ国・地域に点在する計78カ所の倉庫をすべて自動化するという、途方もない規模のものです。これに投じられる予算は約1000億円。単なる作業効率化に留まらず、ITを駆使して企画から輸送までを一気通貫で最適化する「サプライチェーン(供給網)」の抜本的な改革を目指しています。
ここでいう「サプライチェーン」とは、製品が作られてからお客様の手に届くまでの全プロセスのつながりを指します。柳井会長は、この巨大な変革を「最短3年で実現したい」と力強く宣言しました。消費者が今まさに欲しているものを、過不足なく、かつ最速で届ける仕組みを整えることで、アパレル業界の宿命とも言える「在庫過多」や「欠品」をゼロに近づける狙いです。
すでに先行して自動化が進む有明倉庫では、最新設備の導入によって、かつて必要だった作業員の数をなんと9割も削減することに成功しています。かつての「人力頼み」の倉庫風景は、整然と動き続けるロボットたちの姿へと塗り替えられつつあります。これは単なる人件費削減ではなく、働き手不足に悩む現代社会への一つの解とも言えるでしょう。
私は今回の動きこそ、日本のアパレル産業が世界で勝ち抜くための「生命線」だと確信しています。トレンドの移り変わりが激しい現代において、物流の速さはそのまま企業の戦闘力に直結します。先端技術を躊躇なく取り入れ、伝統的なビジネスモデルを破壊して再構築するファーストリテイリングの姿勢は、多くの日本企業が学ぶべき道標となるはずです。
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