2019年11月13日、日本の産業界を牽引する電機大手8社の2019年4月から9月期における連結決算が出そろいました。その結果を紐解くと、かつての「家電王国」日本を支えた巨大企業たちの間で、驚くほど残酷なまでの格差が浮き彫りになっています。世界的な景気後退の波を真っ向から受けた企業が苦戦を強いられるなか、特定の分野で世界を圧倒する強みを持った企業だけが、眩いばかりの光を放っているのです。
今回の決算発表において、主役の座を射止めたのは間違いなくソニーでしょう。同社は3年連続で過去最高の営業利益を更新するという、まさに「一人勝ち」と呼ぶにふさわしい快進撃を続けています。SNS上でも「もはやソニーは単なる家電メーカーではなく、最強のデバイス・エンタメ企業だ」といった驚嘆の声が相次いでおり、投資家からの視線も一段と熱を帯びているようです。
米中摩擦の逆風が直撃した日立・パナの苦悩
一方で、日立製作所やパナソニックをはじめとする5社は、前年同期と比べて営業利益が減少するという厳しい現実に直面しています。この背景には、2019年現在も激化の一途をたどる米中貿易摩擦や、それに伴う中国経済の減速が色濃く反映されているといえるでしょう。工場で使われる産業機器やテレビなどの家電製品が思うように売れず、さらに追い打ちをかけるような円高の影響が各社の利益を容赦なく削り取った形です。
特に深刻なのが、工場自動化を推進する「FA(ファクトリーオートメーション)」分野です。製造現場の効率化を担うこの領域は、中国の設備投資意欲が減退したことで三菱電機などの収益を大きく圧迫しました。私自身の見解としても、世界規模のサプライチェーンに組み込まれている日本の電機メーカーにとって、この外部環境の激変は自社の努力だけでは抗いきれない、非常に重苦しい逆風になっていると感じざるを得ません。
スマホの「眼」を制する者が市場を制す
それでは、なぜソニーだけがこれほどの勢いを保てるのでしょうか。その鍵は、スマートフォンの多眼化(カメラレンズの増加)に伴い、爆発的に需要が伸びている「イメージセンサー」にあります。これは光を電気信号に変えてデジタル画像にする、いわばカメラの「網膜」にあたる半導体ですが、ソニーはこの分野で世界シェアの頂点に君臨しています。時代が求める技術を正確に射抜いた戦略が、見事に結実した結果でしょう。
また、IT関連のサービス需要も各社の明暗を分ける重要な要素となっています。NECは主力であるIT部門が好調を維持しており、富士通もシステム開発に対する強い引き合いに支えられています。ハードウェアの販売だけに頼らず、システムやサービスといった「コト消費」に近い領域でどれだけ強みを発揮できるかが、これからの生き残り条件になるはずです。
今後の見通しについては、2020年3月期の通期予想で下方修正を余儀なくされた企業も多く、電機業界全体に漂う不透明感は拭えません。しかし、逆境にあってもなお成長の芽を見極め、一点突破の技術で世界を席巻するソニーの姿は、日本企業が進むべき一つの指針を示しているのではないでしょうか。この激動の2019年をどう乗り越えるのか、各社の次なる一手に注目が集まります。
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