【SEOキーワード:米中貿易戦争、中国経済、景気減速】】最長景気「回復シナリオ」に暗雲か?米中対立で再燃する中国経済減速の深い懸念

2019年05月31日時点、戦後最長の回復を続けてきた日本の景気にも、変調の足音が忍び寄っています。その大きな要因の一つとして、米中間の貿易戦争が激化し、世界第2位の経済大国である中国の景気回復シナリオが大きく狂い始めている点が挙げられるでしょう。特に、ドナルド・トランプ米政権が5月10日に、2,000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を10%から25%に引き上げた「第3弾」措置は、中国経済に深刻な影を落としています。

この追加関税の影響を色濃く受けているのが、中国南部の広東省仏山市です。ここは8,000社以上の家具メーカーが集積する一大産地ですが、家具類は今回の追加関税の対象製品のうち、約15%を占める主要品目なのです。仏山市家具協会の黄科明高級顧問は、「対米輸出が25%から30%も減少するのではないか」と、強い懸念を示していらっしゃいます。家具は耐久消費財であり、関税引き上げはメーカーの利益を圧迫し、消費者への販売価格にも影響しますから、輸出の落ち込みは避けられないでしょう。

国際通貨基金(IMF)は、わずか4月の世界経済見通しでは、中国政府による景気対策の効果や市場心理の改善を期待し、「2019年後半に成長の再加速が見込まれる」との見方を示していました。しかし、米中貿易戦争が長期化・持久戦の様相を強めた結果、この楽観的な回復見通しは急速に色褪せてしまったと言えるでしょう。実際に、米中協議が物別れに終わった後に公表された4月の経済統計は、非常に冴えない数字となりました。

特に注目すべきは、工業生産の伸び率の鈍化です。3月には8.5%と4年8カ月ぶりの高水準を記録していたものの、4月には5.4%へと大きく減速してしまいました。これを受け、みずほ総合研究所の大和香織主任エコノミストは、「中国経済の減速が続いている」と分析しています。また、消費の冷え込みも顕著で、4月の新車販売台数は前年同月比で15%減という厳しい結果です。上海市内の米ゼネラル・モーターズ(GM)の販売店の従業員の方も、「3月末から最大で2万5,000元(約40万円)も値下げしたのに、なかなか客足が戻ってこない」と、需要の鈍さに米中対立が追い打ちをかけている状況を嘆いていらっしゃいます。

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増値税減税の効果は限定的?不動産市場の動向にも懸念

中国政府は景気対策を急ピッチで実施していますが、一つ大きな重荷となっているのが「過剰債務」の問題です。中国では、企業などの借金が国内総生産(GDP)の2.5倍にまで膨れ上がっており、かつてのように、インフラ投資を無闇に増やし続けることが難しい状況にあるのです。今回、政府が景気対策の柱としたのは、増値税(付加価値税)などの減税で、その規模は2兆元(約32兆円)に上ります。しかし、公共投資の上積みと異なり、減税は景気を直接的に押し上げる「即効性」に欠けるため、その効果は限定的との見方も根強くあります。

不動産市場にも減速の兆しが見え始めています。例えば、山東省菏沢市のマンション展示場では、「手付金を払えば頭金は負担します」といった、大幅な値引きを示す宣伝文句が目立っているそうです。ある不動産仲介業者は、「2~3年後に引き渡しとなるマンションの売れ行きが悪い」と現状を語っています。全国の不動産販売面積も1月から4月の累計で前年を下回っており、中国経済を支えてきた不動産市場の不振も、景気減速懸念を深める要因となっていると言えるでしょう。

専門家の間では、今後の更なる減速を危惧する声も高まっています。金融大手のUBSは、米国がすべての中国製品に対し25%の追加関税を課した場合、中国の成長率は1.6から2ポイントも低下する可能性がある、との試算を発表しています。このような経済活動の鈍化を先取りする国際的な指標も、不安を反映し始めている状況です。例えば、世界の銅消費の半分を占める中国の景気を映すとされるロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物価格は、5月29日に1トン5,883ドルと、約5カ月ぶりの安値を記録しました。この1カ月間での下落率は8%に達しており、部品や銅線向けの需要がさらに落ち込むことへの不安が広がっているのです。

広がる影響と、中国指導部の苦悩

中国経済の減速は、周辺地域にも影響を及ぼしています。大型ばら積み船の用船料(船のチャーター料)の動きが鈍いことも、中国の景況感を反映しています。主に鉄鉱石を運搬し、指標とされるケープサイズ(積載重量約18万トン)の用船料は、米中合意への期待から3月末に一度は上昇に転じましたが、足元では昨夏の半分程度となる1万3,000ドル前後で推移が停滞している状況です。このことは、鉄鉱石などの資源需要が弱いことを示しており、中国の投資活動の勢いが失われている証拠とも考えられます。

さらに、貿易戦争の「飛び火」も発生しています。マレーシア貿易産業省は5月8日に、中国製の冷間圧延コイルに対する反ダンピング関税を大幅に引き上げました。これは、米中貿易戦争のあおりを受け、安価な中国製品が周辺国へ流れ込む動きが加速したためです。また、タイでも対中輸出の減少が響き、1月から3月の成長率が約4年ぶりの低水準に沈むなど、中国依存度の高いアジア諸国への影響も顕在化しています。

中国指導部は、景気が失速した場合には追加の対策を講じる方針を明らかにしていますが、世界第2位の規模に成長した中国経済は、その成長力そのものが鈍化傾向にあるのが実情です。財政や金融をテコ入れすれば、企業や地方政府の債務膨張のツケがさらに大きくなるというジレンマを抱えています。現在の中国は、かつてのような「大盤振る舞い」による景気刺激策が難しくなっており、米国との対立が経済運営全体に重くのしかかっている、というのが私の見解です。この「最長景気」のシナリオが今後どうなるのか、私は非常に厳しい局面を迎えるのではないかと考えています。

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