トランプ氏再選への追い風か?中東緊迫化で見せた「軍最高司令官」の素顔と2020年米大統領選の行方

中東情勢の緊迫化により、世界中が緊迫した空気に包まれています。2020年1月8日、イランがイラクの米軍駐留基地へ弾道ミサイルを撃ち込んだというニュースは、まさに「トランプの中東戦争」の開戦を予感させ、世界に大きな衝撃を与えました。

しかし、その約18時間後にホワイトハウスで行われたトランプ米大統領の演説は、人々の予想を裏切るものでした。演説の中に「反撃」の二文字はなく、米軍の死傷者もゼロだったことが判明します。「これ以上の軍事力行使は望まない」という平和的な姿勢に、市場は安堵の表情を浮かべました。

この劇的な展開を受けて、SNS上では「世界戦争の危機が回避されて本当に良かった」「トランプ氏の対応は意外にも冷静だった」といった安堵の声が続出しています。一方で、「自分で緊張を煽っておきながら、平和の使者を気取るのは自作自演ではないか」という冷ややかな指摘も相次ぎました。

実際に2020年1月9日には、米株式市場で主要3指数が揃って最高値を更新しています。トランプ氏はすかさず「あなたの401k(確定拠出年金)の調子はどうだい?」と、得意げにSNSへ投稿しました。確定拠出年金とは、個人の責任で資産を運用する私的年金制度のことで、株価の格好のアピール材料となります。

そもそも今回の危機の引き金を引いたのは、イランのソレイマニ司令官の殺害を命じたトランプ氏本人に他なりません。大統領自らが作り出す不安と安定の波に、市場がさらなる株高で反応するという、まさに超現実的な光景が2020年の幕開けに繰り広げられているのです。

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大統領選挙を見据えたトランプ氏の高度な政治戦術

本格的な武力衝突への警戒が完全に消えたわけではありませんが、この混乱が一段落すれば、2020年11月の米大統領選挙で再選を目指すトランプ氏にとって、むしろ強力な追い風が吹き始める可能性があります。その最大の理由は、彼が見せた「軍の最高司令官」としての意外な落ち着きです。

政権発足後、最も緊迫した状況下で軍事行動を抑制し、イランに対話を呼びかけた姿は、普段の「短慮で気まぐれ」という悪評を覆すものでした。過激な言葉で政敵を批判するいつもの選挙演説とは異なり、淡々とメッセージを語る姿は、支持政党を持たない浮動層の心にも好印象を与えたはずです。

さらに、トランプ氏は共和党内の結束を一段と強めることにも成功しています。ソレイマニ司令官の殺害後、ポンペオ国務長官はメディアを通じて「米国へのテロ攻撃が切迫していた」と執拗に主張しました。野党・民主党は反発していますが、共和党支持者の大半は大統領の判断を熱烈に支持しています。

現段階の状況を冷静に分析すると、トランプ氏のこうした「強い指導者像」の演出は、極めて計算高い外交戦略であると言わざるを得ません。世界を振り回す手法には倫理的な疑問が残るものの、自らの存在感を最大限にアピールする政治手腕においては、圧倒的な強さを誇っているのが現実です。

対する野党・民主党の候補者たちは、過去のイラク戦争への賛否を巡る内輪揉めに終始しており、有効な対抗馬としての具体策を打ち出せていません。トランプ氏が仕掛ける「経済制裁や追加関税で追い込み、交渉の席につかせる」という一連のビジネスライクな戦術は、中国や北朝鮮に対しても同様に機能しています。

「米国第一主義」を掲げて国際秩序を揺るがし、分断をエネルギーにして突き進むトランプ氏の勢いは、止まる気配がありません。この一見すると型破りなモンスターを打ち破ることは、民主党にとって想像以上に険しい道のりになるでしょう。

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