アパレル界の巨人、ユニクロを展開するファーストリテイリングが、物流の常識を覆す壮大なプロジェクトを加速させています。同社は2019年11月18日、日本とフランスの新興ロボット企業2社と戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。すでに提携している物流最大手のダイフクに加え、尖った技術を持つベンチャーの力を借りることで、世界中の倉庫を「完全自動化」するという驚きの構想が現実味を帯びています。
今回、パートナーに選ばれたのは、東京に拠点を置く「MUJIN」とフランスの「エグゾテック ソリューションズ」です。柳井正会長兼社長は、創業10年未満の両社を「これから大きく成長する存在」と高く評価しています。SNS上では「ユニクロの進化が止まらない」「日本の技術が世界を変えるのはワクワクする」といった期待の声が溢れており、この異色とも言えるコラボレーションは大きな注目を集めている状況です。
「つかめない」常識を打破するMUJINの知能ロボット
実は、衣料品の自動化には「柔らかい布製品はロボットには扱いにくい」という高い壁が存在していました。金属などの固形物とは異なり、形状が一定ではない洋服を正確に識別してつかむ作業は、これまで熟練した人間の手に頼らざるを得なかったのです。しかし、MUJINが開発した独自の制御システムは、事前に細かい動きを教え込まずとも、ロボットが自ら商品の形を瞬時に理解し、適切にピッキングすることを可能にしました。
ここで言う制御システムとは、いわばロボットの「脳」にあたるソフトウェアのことです。これにより、従来は不可能とされていた複雑な作業がデジタル化され、労働力不足に悩む物流現場の救世主となることが期待されています。2018年秋に稼働した有明倉庫では、すでに作業員を9割削減することに成功していますが、今回の提携によって、残されたわずかな「人の手」による作業までもが自動化の領域へと踏み出していくでしょう。
世界78拠点を結ぶサプライチェーンの劇的な進化
一方、フランスのエグゾテック社は、小型ロボットが縦横無尽に走り回る革新的な自動仕分けシステムに強みを持っています。重い荷物を棚から運び出す重労働をロボットが肩代わりすることで、スタッフの負担は劇的に軽減されるはずです。ファーストリテイリングは今後、約1000億円という巨額の投資を行い、日本や中国、米国を含む世界19カ国・地域、全78カ所の倉庫を自動化する計画を立てています。
柳井会長は、この改革を「最短3年で実現したい」と強い決意を語っています。これは単なる効率化の話ではありません。商品の企画から生産、そして輸送に至るまでを一気通貫で管理する「サプライチェーン(供給網)」そのものをITの力で刷新し、無駄を徹底的に排除する挑戦です。必要なものを、必要な時に、必要なだけ届ける。この理想を追求する姿勢は、現代のアパレル産業が抱える大量廃棄問題への一つの答えになるかもしれません。
個人的な視点として、今回の提携は「大企業がベンチャーのスピード感を取り込む」という、日本企業が目指すべき理想的な形だと感じます。伝統的な大手企業と、特定の分野で世界トップを走る新興勢力が手を取り合うことで、イノベーションは爆発的に加速します。ユニクロが「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という理念を、テクノロジーという確かな裏付けをもって体現しようとする姿には、ただならぬ凄みを感じざるを得ません。
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