紳士服業界に激震!青山商事が創業初の赤字へ、「脱スーツ」加速で問われるビジネスウェアの未来

日本のビジネスシーンを象徴してきた「スーツ」という文化が、今まさに大きな転換点を迎えています。紳士服大手の青山商事は、2020年3月期の最終損益が創業以来初となる20億円の赤字に転落する見通しであることを発表しました。前期の57億円という黒字から一転しての苦境に、青山理社長も思わぬ事態の深刻さに頭を抱えています。

この衝撃的なニュースはSNSでも瞬く間に拡散され、ユーザーからは「ついにこの時が来たか」「最近は職場でもジャケパン(上下揃いのスーツではなく、ジャケットとパンツを別々に組み合わせるスタイル)が当たり前になった」といった声が相次いでいます。長年、当たり前だった「出社=スーツ」という常識が、急速に塗り替えられているのです。

業績悪化の背景には、2019年10月に実施された消費増税による「痛税感」や、台風19号の影響による店舗休業など複数の要因が重なりました。しかし、最も大きな誤算は独自の価格戦略の失敗でしょう。業界で定番だった「2着目半額」のような不透明な値引き販売を廃止し、あらかじめ誠実な価格を提示する新方針を打ち出しましたが、結果としてまとめ買い需要を逃す形となりました。

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「働き方改革」がもたらしたビジネススタイルの地殻変動

苦境に立たされているのは青山商事だけではありません。コナカも2019年9月期に53億円という巨額の赤字を計上し、はるやまホールディングスやAOKIホールディングスも軒並み厳しい戦いを強いられています。これほどまでに各社が苦しむ根本的な理由は、国が推進する「働き方改革」に伴い、職場のカジュアル化が劇的に進んだことにあります。

総務省の調査によれば、1世帯あたりのスーツへの支出額は2000年と比較して半分以下にまで激減しました。かつての「仕事着の戦闘服」としての価値観は薄れつつあり、もはやスーツは日常着ではなく、冠婚葬祭や極めて重要な商談の際だけに着る「特別な服」へと変化しているのかもしれません。

こうした状況を打破するため、各社は本業以外の多角化を急いでいます。青山商事はフィットネスジムの併設を進め、AOKIはネットカフェやカラオケ事業に注力、コナカはサマンサタバサとの提携で新客層の開拓を狙っています。しかし、これらの新事業が主力のスーツ販売の落ち込みを補うまでには至っておらず、文字通り「生き残りをかけた再構築」が求められています。

編集者の視点から見れば、これは単なる一業界の不況ではなく、日本人のライフスタイルそのものがアップデートされた結果だと言えるでしょう。今後は「安さ」や「数」ではなく、機能性や個性を重視した新しい価値提案ができるかどうかが、名門企業たちの明暗を分ける重要な鍵になりそうです。

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