脱時間給制度はなぜ浸透しない?高度プロフェッショナル制度の現状と年収・業務の壁を徹底解説

働き方改革の目玉として期待されていた「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」が、2019年04月01日の施行から3カ月を迎えたものの、その普及は極めて限定的な状況にあることが判明しました。厚生労働省がまとめた最新の集計によれば、制度の対象となっている労働者はわずか321人にとどまっています。導入に踏み切った企業も日本全国でたったの4社に限定されており、当初の予想を大きく下回る滑り出しとなりました。

この「高度プロフェッショナル制度」とは、働いた時間ではなく、仕事の成果に対して賃金を支払う新しい仕組みを指します。具体的には、高度な専門知識を持ち、年収が一定以上の水準にある職種を対象に、労働基準法の労働時間規制を適用外とするものです。SNS上では「自由な働き方ができる」という肯定的な意見がある一方で、「残業代ゼロ法案なのではないか」という懸念の声も多く、制度の是非を巡る議論が今なお活発に続いています。

現在の導入事例を詳しく見ていくと、対象者の大半をコンサルタント職が占めているのが実情でしょう。2019年07月26日時点のデータが示す通り、この制度を利用するためには「年収1075万円以上」という非常に高い所得要件をクリアしなければなりません。この金銭的なハードルの高さに加え、対象となる職種が厳密に規定されていることが、多くの企業にとって導入を躊躇させる大きな要因となっているのは間違いありません。

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普及を阻む「本人の合意」と生産性向上のジレンマ

制度の普及を妨げているのは、法的な要件だけではありません。導入にあたっては労働者本人の同意が必須となっており、働く側が抱く「過重労働」への不安を払拭できていない点も無視できないでしょう。企業側も労働者の健康確保措置として、年間104日以上の休日取得や、勤務間インターバル(勤務終了から翌日の始業までに一定の休息時間を置くこと)の導入が義務付けられており、運用の管理コストが予想以上に膨らんでいるようです。

個人的な見解を述べさせていただくと、生産性の向上を目的としたこの制度自体は、決して悪い試みではないと感じます。しかし、日本に根強く残る「長時間働くことへの美徳」という文化が、成果主義への移行を阻んでいるのではないでしょうか。真の意味で多様な働き方を実現するには、単に制度を整えるだけでなく、評価基準を明確にし、労働者が安心して新しいスタイルを選択できるような空気感を醸成していくことが、今後の大きな課題になると考えられます。

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