2019年07月26日、財務省は来年度予算の骨格となる「2020年度予算の概算要求基準」の概要を明らかにしました。今回の発表で最も注目を集めているのは、高齢化の進展に伴って膨らみ続ける社会保障費の扱いです。いわゆる「自然増」と呼ばれる、制度を変えなくても高齢者の増加によって自動的に増えてしまうコストは、5300億円程度にのぼる見通しとなりました。これは私たちの生活に直結する医療や介護の負担が、着実に増している現状を物語っています。
一方で、政府は「守り」だけでなく「攻め」の姿勢も鮮明に打ち出しています。次世代の経済成長を牽引する分野に対して、4.4兆円を超える巨額の「特別枠」を設ける方針を固めました。ここでいう特別枠とは、特定の政策課題を解決するために優先的に予算を配分する仕組みを指します。SNS上では「社会保障の増大はやむを得ないが、未来への投資も欠かせない」といった声や、「具体的にどのような技術が支援されるのか注視したい」という期待混じりの意見が飛び交っています。
先端技術への大胆な投資と財政再建のジレンマ
今回の目玉となる特別枠の投資先として期待されているのが、人工知能を指す「AI」や、モノがインターネットにつながる仕組みである「IoT」といった先端技術分野です。これらのテクノロジーは、労働力不足が深刻化する日本において生産性を向上させる切り札と考えられています。各省庁が自由に使える「裁量的経費」を1割削減させる一方で、その削減額の3倍を特別枠で要求できるという大胆なインセンティブ設計は、まさに構造改革を促すための強いメッセージといえるでしょう。
しかし、こうした積極的な予算編成には懸念点も拭いきれません。2019年10月に予定されている消費税増税に伴う社会保障の充実策などは、年末の予算編成を待って具体化される予定です。各省庁からの要求総額は、過去最大規模の100兆円を突破することが確実視されています。専門家の間では、景気対策と成長戦略を優先するあまり、国の借金を抑える「財政規律」が形骸化してしまうのではないかという厳しい指摘もなされており、政府の手腕が問われています。
私自身の見解としては、目先のコスト削減に固執するあまり、将来の芽を摘んでしまうことは避けるべきだと考えています。5300億円の社会保障増を単なる重荷と捉えるのではなく、AIやIoTの活用によって医療・介護現場の効率化をどこまで進められるかが鍵を握るはずです。デジタル化への投資が、最終的に社会保障費の抑制につながるような好循環を期待したいところですね。未来の世代にツケを回さないための賢いお金の使い方が、今こそ求められています。
コメント