化学メーカー大手の旭化成が、北陸の産地企業との連携を一段と深めようとしています。2020年1月30日の発表によると、同社は2021年3月期における北陸産地との取引額を、今期と比較して5%から10%ほど増加させる方針を明らかにしました。北陸といえば、伝統的に繊維産業が非常に盛んな地域として知られていますが、旭化成はここでどのような戦略を描いているのでしょうか。
今回の拡大戦略において、特に軸となるのが人工皮革の「ラムース」です。この素材は、優れた耐久性や上質な風合いを持つことから、自動車のシートなど幅広い分野で採用が進んでいます。人工皮革とは、天然皮革の構造を模倣して合成樹脂を用いて作られた素材のことで、近年はその機能性の高さから、衣類だけでなく内装材としての需要が急速に高まっているのです。
北陸産地との強固なパートナーシップの行方
振り返ってみれば、2020年3月期の取引額については、前期比でおおむね横ばいという見通しでした。これには気候の影響が大きく関わっています。記録的な暖冬により、婦人服の需要が低迷した結果、肌着などに使われる同社の主力素材「ベンベルグ」が苦戦を強いられました。ベンベルグとは、綿花の種子の周りにある産毛(コットンリンター)を原料とした再生繊維のことで、吸湿性に優れ肌触りが良いのが特徴です。
しかし、こうした逆風の中でも、スポーツ関連素材や産業資材系の製品は堅調に推移しました。さらに、アウター向けの素材も海外市場からの注文が相次ぐなど、需要の底堅さを見せています。今回の取引増強という判断は、こうした好調な分野へリソースを集中させ、さらなる収益機会を創出しようとする同社の前向きな経営姿勢の表れと言えるでしょう。
SNS上でも、「素材の力を活かして需要を掘り起こす姿勢は流石」「北陸の技術と旭化成の素材がタッグを組めば、世界市場でも面白い製品が生まれそう」といった期待の声が寄せられています。時代の変化に対応しながら着実に成長を目指す旭化成の動向は、今後の素材産業のあり方を占う上でも、非常に重要な示唆を含んでいるのではないでしょうか。
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