日常のふとした瞬間を17音に凝縮する俳句。その奥深い世界を覗いてみませんか。2020年2月15日の日本経済新聞「俳壇」では、著名な俳人である茨木和生(いばらきかずお)氏が選者となり、全国から寄せられた素晴らしい名句が紹介されました。SNS上でも「言葉の選び方が美しすぎる」「情景が目の前に浮かぶ」といった感動の声が数多く寄せられており、現代人の心にも深く響いていることがうかがえます。忙しい日々の足を少し止めて、五七五が織りなす極上の情景を一緒に味わっていきましょう。
今回、特筆すべきなのが森田幸夫さんが詠まれた「大阪に残る一村山笑ふ」という作品でしょう。「山笑う」とは、春の山が新芽や花に覆われて明るく、まるで笑っているかのように見える様子を表す春の季語(季節を表す言葉)です。大都会のイメージが強い大阪府ですが、実は南河内郡千早赤阪村という唯一の「村」が存在します。南北朝時代の豊かな歴史を今に伝えるこの地が、春の訪れとともに輝く姿が見事に活写されているのではないでしょうか。歴史ロマンを感じるこの場所へ、句作の旅である吟行に出かけるのも素敵です。
五感で楽しむ冬から春への情景
和城弘志さんの「農具市もつの煮込みを匂はせて」も、現地の熱気が伝わる名作です。農具市とは農耕器具を売る伝統的な市場のことで、冷え込む広場の中に美味しそうなもつの煮込みの香りが漂う様子が表現されています。嗅覚を刺激する見事な表現により、活気あふれる市場の寒さと温かさが同時に伝わってくるでしょう。また、妙中正さんの「藁苞の飛ばされてあり寒牡丹」では、繊細な寒牡丹を寒さから守るための藁苞(わらづと:藁で作られた囲い)が、強風で吹き飛ばされてしまった冬の厳しい情景がダイナミックに描かれています。
こうした魅力的な俳句の数々は、私たちも気軽に投稿することができます。応募方法は、ハガキ1枚に未発表の自作品を3句まで記入し、住所、氏名、電話番号、希望する選者名を明記して、日本経済新聞文化部の「俳壇」係まで郵送する形です。現在ではメールによる受付も実施されており、より身近に挑戦できるようになりました。入選した作品は電子版にも掲載されるため、全国の愛好家へあなたの言葉を届けるチャンスです。お気に入りの季語を見つけて、あなただけの特別な一瞬を17音に込めてみませんか。
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