多様化する家族のカタチとは?アサダワタル氏が描く保活の先にある新しい幸せの選び方

子どもを保育園に入れるための活動を指す「保活(ホカツ)」は、多くの子育て世代にとって大きな壁として立ちはだかります。著述家のアサダワタル氏による著書『ホカツと家族』は、この保活を入り口にしながら、現代における「家族のあり方」を深く掘り下げた珠玉の一冊です。著者は理想的な子育て環境を追い求める中で、数々の家庭へ取材を重ねていきました。その対話の旅は、自分自身が一体どのような幸福を望んでいるのかという、本質的な問いかけへと繋がっていきます。

ネット上では「標準的な家族という枠組みに縛られていたと気づかされた」「我が家らしい選択で良いのだと救われた」といった、共感と感動の声が続々と寄せられています。かつて当たり前とされた、夫婦と子ども二人からなる「標準世帯」という概念は、もはや現代社会の幻想にすぎないのかもしれません。それぞれの事情に合わせた多様なライフスタイルが存在し、それが時代の変化とともに形を変えていくことは、極めて自然なことなのです。本書に登場する事例は、私たちに新しい視点を与えてくれます。

例えば都内のシェアハウスで周囲と協力しながら子どもを育てる20代の夫婦や、北海道の実家で賑やかに暮らす7人の大家族など、その形態は驚くほど多彩です。また、大学勤務の夫を大阪に残し、子育てをサポートしてくれる両親の田舎暮らしの希望に合わせて愛媛県今治市の大島へ移住した家族の例も紹介されています。一見すると、少し変わった選択のように思えるかもしれません。しかし、彼らが抱えていた悩みの本質を紐解いていくと、実は誰もが直面する共通の課題が見えてきます。

ワンオペ育児の限界を避けるために、最もお互いが笑顔でいられる方法を模索した結果が、現在の「単身赴任」というスタイルでした。どの家庭も、数ある可能性を真剣に検討した上で、自分たちが一番幸せになれる選択肢を主体的に選び取っています。家族のあり方は非常にプライベートな問題であるため、他者と共有しにくい性質を持っています。だからこそ、こうした多様な選択肢をオープンに語り合える場が必要であり、著者はそのような機会を社会に作っていきたいと考えているのです。

私自身、現代の家族にはもっと自由な選択肢があって然るべきだと強く感じます。誰かが決めた「普通」に合わせる必要はどこにもありません。しかし、個人の意識がどれほど変化しても、多様な家族を支えるための社会制度の歩みが遅いという現実が存在します。私たちはただ待つだけでなく、一人ひとりが社会へ関心を持ち、行政に声を届けていく必要があります。それぞれの立場から主体的に社会へ参画していく姿勢こそが、これからの未来をより豊かに変えていく鍵になるでしょう。

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