世界中の糖尿病患者さんにとって、まさに希望の光となるニュースが飛び込んできました。デンマークに本拠を置く製薬大手のノボノルディスク社が、あらゆる細胞に変化できる能力を持つ「ES細胞」を活用した画期的な糖尿病治療の臨床試験、いわゆる治験に乗り出すことを決定したのです。2019年07月02日、ラース・フルアーガー・ヨルゲンセンCEOが日本経済新聞社のインタビューに応じ、その壮大な構想を熱く語りました。
ヨルゲンセン氏は、2023年までに日本を含む世界数カ国で国際共同治験を開始するという具体的な目標を表明しています。SNS上では「一生続く注射から解放されるかもしれない」「医療の進歩に驚いた」といった期待の声が数多く寄せられており、再生医療の力で糖尿病を克服しようとする同社の姿勢に、世界中から熱い視線が注がれています。対症療法が主流だったこれまでの治療から、病の根本を断つ「根治」へのパラダイムシフトが、今まさに起ころうとしているのです。
一生続く薬からの解放!ES細胞が切り拓く再生医療の仕組み
糖尿病とは、血液中の糖分を調節するインスリンというホルモンがうまく働かなくなり、血糖値が高い状態が続いてしまう疾患です。これまではインスリン注射や内服薬によって数値をコントロールするしかなく、患者さんは生涯にわたって治療を続ける必要がありました。しかし、再生医療はこの常識を根本から覆します。特定の臓器や組織に成長する前の「ES細胞(胚性幹細胞)」から、インスリンを作り出す「膵臓β細胞」を人工的に生み出し、それを体内に移植するという驚きの技術なのです。
ヨルゲンセンCEOは、この技術が成功すれば、毎日薬を飲み続けたり注射を打ったりする必要がなくなり、糖尿病を完治させられる可能性があると力説しています。現在は動物実験の段階ですが、作製した細胞を特殊な膜に包んで移植することで、安全性を高める工夫もなされています。20年以上にわたって幹細胞の研究を続けてきた同社だからこそ到達できた、科学の結晶と言えるでしょう。長年の苦労が実を結び、患者さんのQOL(生活の質)が劇的に向上する日は、そう遠くないのかもしれません。
日本市場への期待と多角化する先進医療への取り組み
今回の国際共同治験において、日本は非常に重要な拠点として位置づけられています。ヨルゲンセンCEOは、日本が幹細胞研究において世界をリードしている点に触れ、高い関心が得られると期待を寄せています。実際に、ノボノルディスクにとって日本は世界第3位の売上を誇る重要拠点であり、2018年度の国内売上高は約873億円に達しています。日本の医療インフラと高い技術力が、世界最先端の治療法を確立するための鍵を握っているのは間違いありません。
また、同社は糖尿病以外にもパーキンソン病の根治を目指した再生医療の研究を進めており、今後2年以内の治験開始を目指しています。自社の主力製品であるインスリン製剤の市場が縮小するリスクを負ってでも、真の「治癒」を追い求める同社の誠実な姿勢には、編集者としても深い感銘を受けます。単に病気と付き合うのではなく、病気を克服する未来を創る。そんなノボノルディスクの挑戦が、2023年に向けて日本の医療現場でどのように展開されるのか、今後の動向から目が離せません。
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