【日韓防衛協力の行方】2019年6月1日、アジア安全保障会議が開催されていたシンガポールで、日本の岩屋毅防衛相と韓国の鄭景斗国防相による非公式会談が実施されました。これは2018年12月に発生した、韓国海軍艦艇による海上自衛隊の哨戒機への火器管制レーダー照射問題を巡る懸案以降、初めてとなる防衛相レベルの直接的な話し合いでした。会談時間は約40分間に及びましたが、焦点となったレーダー照射事案については、両国の見解が真っ向から対立し、溝が埋まらないまま平行線に終わった模様です。
日本側は、韓国側が事態の事実関係を認め、再発防止に向けた具体的な取り組みを行うよう改めて強く要請いたしました。しかし、鄭国防相は一貫して照射の事実を「全くの事実無根」と否定する姿勢を崩しておりません。この火器管制レーダーというものは、ミサイルなどの兵器を発射する際に目標に精密な照準を合わせるために使用されるレーダーのことで、これを相手国の航空機に使用する行為は、極めて危険な行為であり、偶発的な衝突につながりかねない深刻な問題なのです。私は、この会談が、日韓の防衛当局間における信頼回復に向けた重要な一歩となることを強く期待していたため、見解の相違が解消されなかった事実は、非常に残念に感じています。
会談後の岩屋防衛相は、記者団に対し、照射問題に関する日本の見解は何ら変わっていないことを強調しつつも、「未来志向の日韓防衛当局間の関係を構築するために、一歩前に踏み出したい」と述べており、事態打開への意欲を示しています。一方、韓国国防省の説明によりますと、鄭国防相は会談で「問題の本質は日本の哨戒機による威嚇飛行にある」と主張されたとのことです。また、聯合ニュースによれば、同国防相は会談後に「虚心坦懐に率直な意見交換ができた」とし、再発防止に向けた協力で意見が一致したと説明されていますが、両者の発言には大きな温度差が見受けられると言えるでしょう。
SNSでの反響と北朝鮮問題への連携
この非公式会談の結果に対し、SNS上では即座に大きな反響が巻き起こりました。多くのユーザーが「結局、何も進展しなかったのか」「韓国が事実を認めない限り、関係改善は難しいだろう」といった、厳しい意見を投稿しています。特に、日本の自衛隊機が危険に晒されたという認識から、韓国側の主張に対する不信感をあらわにするコメントが目立っていました。また、一部からは「なぜこのタイミングで会談を開いたのか」という疑問の声も上がっていました。
このような状況下で、今回の会談が開催された背景には、北朝鮮が繰り返すミサイル発射への対応で、日韓が足並みを揃える必要性が増しているという切実な事情があります。両防衛相は、北朝鮮問題についても協議し、今後の協力に向けて関係改善に努力していくことを確認いたしました。しかし、この点に関しても、認識のずれが浮き彫りになる場面が見られました。アジア安全保障会議での質疑応答で、岩屋防衛相が2019年5月9日の発射事案を「明らかに短距離弾道ミサイルの発射であり、国連安全保障理事会決議違反だ」と断定的に指摘したのに対し、鄭国防相は「北朝鮮の行為は対話を通じた和平プロセスを追求したい意図だと信じている」と、対話重視の姿勢を強調されたのです。
安全保障上の共通の脅威を前にしても、レーダー照射問題という深刻な懸案が残る中、日韓の防衛協力は未だ停滞したままの状態です。私は、北東アジアの安定という大局的な視点から、この問題が早期に解決されること、そして、日韓双方が未来を見据えた建設的な防衛関係を築き上げることを強く望んでいます。今回の会談は、たとえ結論が出なかったとしても、直接対話のチャンネルが再開されたという点で、わずかながらも前進と言えるのかもしれません。今後の両国の防衛当局による対話の進展が、国際社会からも注目されることでしょう。
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