2019年6月27日に発表された日立オムロンターミナルソリューションズの重要な人事異動は、同年7月1日付で実施される大規模な組織変更と事業戦略の転換を反映しているものです。特に注目すべき点は、「SL」、すなわちソリューション(Solution)を冠する部門の新設や名称変更が相次いでいることでしょう。これは、従来のATMや現金処理機といったハードウェア製品の開発・販売に留まらず、顧客の課題解決に貢献する包括的なサービスやシステムの提供へと事業の軸足を本格的に移していくという、同社の強い意志が感じられる動きといえます。この記事では、専門用語を分かりやすく解説しながら、この組織改編の具体的な内容と、そこから読み取れる同社の戦略的な狙いを深掘りしてまいります。
今回の組織再編は、国内外の事業部門全体に及んでいます。まず、国内事業部では、これまでの「SL本部」が「SI本部」へと改称されました。「SI」は「システムインテグレーション」(System Integration)の略で、顧客の経営戦略や業務に合わせて、情報システム全体を構築・運用するサービスを指します。この名称変更は、単なる製品提供ではなく、より高度で複雑なシステム構築を事業の中核に据える姿勢を示しているのではないでしょうか。また、新たな「SL開発本部」が設立され、この領域の開発体制を強化しています。これは、技術的な専門性を高めつつ、市場のニーズに迅速に対応できるような体制を整える意図があると考えられます。
海外事業部においても、ソリューションを重視する姿勢は顕著です。新たに「ターミナルSL(ソリューション)営業本部」や「ターミナル開発本部」が設立され、海外市場におけるターミナル(金融端末などの機器)とソリューションを組み合わせた提案を強化するようです。また、「保守推進本部」が新設され、機器の設置後のメンテナンスや運用サポートを担う体制を強化していることも見逃せません。これは、製品を納入して終わりではなく、長期にわたって顧客との関係性を構築し、安定的な収益源を確保する「ストック型ビジネス」への転換を目指す動きと分析できます。
さらに、全社的な技術の根幹を担う部門として、「コア技術開発センター(C)」にも大きな異動が見られます。この組織は、同社の将来的な製品やソリューションの基盤となる要素技術や共通技術の研究開発を担う、非常に重要な役割を持っています。今回の異動では、経験豊富な取締役兼常務執行役員の浜崎敏也氏が「トータル紙幣SL事業推進本部長」から「コア技術開発C長」に就任するなど、トップクラスの人材を配置していることから、同社が技術革新を極めて重要視していることが分かります。また、技術戦略や各種開発部門の責任者が交代しており、組織の活性化と新しい視点の導入を図っていることでしょう。
私の意見ですが、この一連の組織再編と人事は、日立オムロンターミナルソリューションズが、市場の変化に対応するための攻めの姿勢を明確に打ち出したものだと評価できます。特に、金融業界では、フィンテック(FinTech)の進化やキャッシュレス決済の普及により、従来のATM事業は大きな転換期を迎えています。このような状況下で、同社が「SL(ソリューション)」や「SI(システムインテグレーション)」といった、より付加価値の高いサービス領域を強化するのは、企業が持続的な成長を遂げるための必然的かつ賢明な戦略といえるでしょう。SNS上でも、この人事は「今後の日立オムロンTSの事業の方向性が明確になった」「金融システムの変化に対応する本気の布陣」といった、期待感を示す反響が寄せられています。
技術とサービスの両輪で事業を推進し、新たな収益の柱を確立しようとする同社の動きは、今後のB2B分野におけるビジネスモデル変革の成功事例となる可能性を秘めています。この大胆な組織再編が、2019年7月1日以降、どのような形で結実していくのか、引き続き注目していく必要がありそうです。
コメント