2019年6月5日、仙台市と宮城県東松島市から、衝撃的な発表がありました。両市は、住宅メーカーであるセルコホーム(仙台市)との間で結んでいた命名権(ネーミングライツ)契約を、異例の形で解除したということです。命名権とは、自治体などが所有する公共施設などに、企業名や商品名などを冠した愛称を付ける権利のことで、企業は施設名を通してPRができ、自治体側は貴重な財源を確保できるという、双方にメリットがある仕組みでございます。
今回、契約解除に至った背景には、セルコホームの社員が公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕されたという、重大な事態が関係しています。この公契約関係競売入札妨害とは、国や地方自治体などが発注する公共工事や物品の調達の入札において、公正な競争を妨げる行為を指す専門用語です。企業イメージの失墜や社会的な信頼への影響を重く見たセルコホーム側が、2019年6月3日に両市に対して契約辞退を申し入れたため、両市はこの申し入れを受け入れ、契約解除に合意した、というのが今回の経緯です。
このニュースが報じられると、SNS上では「逮捕者が出た以上、仕方ない判断だ」「公共施設の名前に傷がつくのは困る」といった、企業倫理を問う声や、両市の対応を支持する意見が多く見受けられました。一方で、「馴染んでいた名前が変わるのは寂しい」という、愛着を持っていた市民の方の素直な声も聞かれ、「今後の動物公園の運営への影響が心配だ」といった、財源確保の側面から懸念を示す声もあり、大きな反響を呼んでいる様子です。
仙台市にある動物公園は、これまで「セルコホーム ズーパラダイス八木山」として親しまれてきましたが、契約解除後は、条例で定められている正式名称である「仙台市八木山動物公園」に戻るということです。セルコホームは、2017年4月から3年間の予定で命名権契約を結んでおりましたが、残念ながら契約期間の途中で愛称が消えることになりました。施設名が変更されることに伴い、看板などの撤去費用はセルコホームが負担するとのことです。
一方、宮城県東松島市にある復興再生多目的施設は、愛称が「セルコホーム あおみな」から「あおみな」へと名称が変更されます。東松島市では、契約期間が2017年4月からの4年間でしたが、「あおみな」という愛称が市民の中にすでに広く浸透していることを踏まえ、セルコホームと協議を行った結果、市民に親しまれた「あおみな」の部分は名称に残すことで合意したそうです。この対応は、市民生活への影響を最小限に抑えようとする、東松島市のきめ細やかな配慮が感じられるものだと感じます。
公共施設の命名権は、企業と自治体の双方にメリットをもたらす素晴らしい制度だと考えますが、企業の不祥事により、それが破綻してしまうことは非常に残念です。今回の事態は、命名権を導入する際の企業選定の厳格さや、契約後の企業側のコンプライアンスの重要性を改めて浮き彫りにした事例と言えるでしょう。市民に愛される施設名を守るためにも、企業の皆様には、より一層の倫理観と法令遵守が求められます。
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