2019年07月26日、日本のスタートアップシーンを牽引する豪華な顔ぶれが東京・渋谷に集結しました。日本経済新聞社が主催した「日経イノベーションミートアップ」では、メルカリの小泉文明社長とラクスルの松本恭摂社長が登壇し、新興企業が成功を掴むための秘訣を熱く語り合いました。かつて「ビットバレー」と呼ばれた渋谷の地で、未来を見据えた熱い議論が繰り広げられたのです。
SNS上では、日本を代表する起業家たちの生の声に対し、「トップ自らが採用に心血を注ぐ姿勢に圧倒された」「大企業との連携術は目から鱗だ」といった感嘆の声が相次いでいます。単なる成功体験の披露に留まらず、これからの日本経済に不可欠な「エコシステム(企業が共存共栄し、新たな価値を生む生態系)」の重要性が再認識される機会となりました。登壇者たちが歩んできた軌跡には、挑戦者へのヒントが凝縮されています。
原点は「裏原宿」と「中国茶」?起業家たちの意外な学生時代
かつての渋谷は、インターネット黎明期の熱気に包まれた聖地でした。小泉氏は、学生時代に「裏原宿ファッション」をネットで転売して稼いでいたというエピソードを披露し、ネットの可能性にいち早く気づいていたことを明かしています。証券会社時代には、後に自身が参画するミクシィの上場を支援するなど、当時からこの街に集まるエネルギーに惹かれていたそうです。まさに渋谷は、彼のキャリアの原点と言えるでしょう。
一方、松本氏は学生時代、取り壊し予定のビルに安く入居できた当時の渋谷ならではの環境を振り返りました。サイバーエージェントでのインターンや、中国茶のEC販売を通じてビジネスの基礎を学んだ経験が、現在のラクスルに繋がっているとのことです。若き才能が偶然に集い、切磋琢磨する。そのような「大学のサークルのような感覚」こそが、イノベーションを生む土壌になっていたという指摘は非常に興味深いものです。
私自身の視点では、現在の渋谷の洗練された再開発も素晴らしいですが、当時の「混沌とした熱量」が今のユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場企業)を生む原動力になったのだと感じます。成功のビルに憧れた若者たちが、今や日本を代表する経営者として後進を導いている姿には、胸が熱くなるものがあります。街の記憶とビジネスの成長は、切っても切り離せない関係にあるのでしょう。
人材採用の鍵は「共感」!スキルの高さより大切なもの
組織を拡大させる際、最も頭を悩ませるのが人材採用です。松本氏は、成長期の自身の時間の6割を採用に充てていたという驚きの事実を語りました。彼が最も重視するのは、ビジネスモデルへの理解以上に「仕組みを変えれば世界は良くなる」というビジョンへの共感だそうです。数字で測れない「30年後の社会価値」を問い続ける姿勢こそが、離脱を防ぎ、強い組織を作る礎になると説いています。
小泉氏もまた、スキルの高さに惑わされないことの重要性を強調しました。初期のスタートアップにおいて、価値観が合わない人や給与目的の人を採用してしまうと、後々の綻びに繋がると警鐘を鳴らしています。メルカリが大切にする「大胆にやろう」といった行動指針、いわゆる「バリュー」に合致するかどうかが、評価の絶対的な基準となっているのです。メッセージがぼやけている企業は淘汰される、という言葉には重みがあります。
大企業の「上層部」を狙え!スピード感を生む連携の極意
スタートアップが大企業と連携し、事業を加速させるにはどうすれば良いのでしょうか。小泉氏は「現場レベルへの提案は信頼されない」と断言しました。物流が不可欠なメルカリは、創業時からヤマト運輸や日本郵便の上層部に直接働きかけ、スピード感を持って「メルカリ便」を実現させたのです。相手の過去5年分の決算資料を読み込み、彼らの戦略に沿った形で提案を行う緻密さは、全てのビジネスパーソンが模範とすべき点です。
松本氏は、検証に時間をかけすぎる弊害を指摘しました。社内説明のための資料作りに奔走するよりも、まずはサービスとして世に出して判断する方が、結果的に成功への近道になるという実体験に基づいたアドバイスです。このように、大企業の強みとスタートアップの機動力を掛け合わせるには、トップ同士の合意形成と、実行を優先するマインドセットが欠かせない要素であることが浮き彫りになりました。
40代以上のベテラン層がスタートアップへ参画することへの期待も語られました。米国に比べて日本では層が薄いこの世代の流動性が高まれば、大企業との相互理解が深まり、より強固な経済基盤が築けるはずです。「終身雇用の終焉」を前向きに捉え、自らの手で機会を創り出す勇気が求められています。2019年07月26日に発信されたこれらのメッセージは、変化の激しい時代を生きる私たちへの力強いエールではないでしょうか。
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