私たちの生活を根底から変えるかもしれない、驚きの技術革新が発表されました。2019年11月10日、東京大学の竹谷純一教授らの研究グループが、有機材料を用いた「印刷技術」によって、高品質な半導体ウエハーを大面積で製造することに成功したと明かしました。この成果は、東大発ベンチャーのパイクリスタルによって事業化が検討されており、産業界からも熱い視線が注がれています。
今回注目すべきは、電気を通す性質を持つ「有機材料」をインクのようにノズルから噴射して、半導体の土台となる結晶を作り出した点です。試作されたのは、9センチメートル角という広さを持ちながら、厚さはわずか10ナノメートルという極薄のウエハーです。「ナノ」とは10億分の1を指す単位であり、目に見えないほど繊細な層が、最先端の印刷技術によって見事に形成されました。
この魔法のようなウエハーの上には、電子回路の基本部品である「トランジスタ」が1600個も配置されました。驚くべきことに、その全てが正常に作動し、その動作速度は有機材料を用いた素子として世界最高水準を記録しています。これまでの有機半導体は、大量生産には向くものの「結晶の質が悪い」「性能が低い」という弱点がありましたが、今回の手法はその課題を鮮やかに解決してみせました。
IoT時代の救世主?安価な大量生産が切り拓く未来
現在、あらゆるモノがインターネットに繋がる「IoT(アイオーティー)」の普及が進んでいます。家中の家電や衣類、日用品にまでセンサーを組み込むには、従来のシリコン製半導体ではコストや工程の複雑さが壁となっていました。しかし、新聞を刷るように半導体を「印刷」できるようになれば、製造コストは劇的に下がり、文字通り無数のセンサーを世界中に供給することが可能になるでしょう。
SNSでは「ついに半導体もプリンターで刷る時代か」「日本発の技術がIoTのインフラを支えるのは胸が熱い」といった期待の声が相次いでいます。一方で「耐久性はどうなのか」といった実用化への鋭い指摘も見られますが、動作速度と品質を両立させた今回の成功は、そうした懸念を払拭する大きな一歩であることは間違いありません。
編集者としての私見ですが、この技術は単なるコストダウンに留まらず、デバイスの「柔軟性」にも革命を起こすと確信しています。有機材料はシリコンと違い曲げに強いため、衣服や人体にフィットするウェアラブルデバイスの爆発的進化を後押しするはずです。2019年11月10日のこの発表は、後に「電子機器の民主化」の起点として記憶される歴史的な転換点になるのではないでしょうか。
コメント