外貨建て保険に新資格は必要?生保と銀行が火花を散らす「販売資格」を巡る攻防の行方

今、金融業界で大きな波紋を呼んでいるニュースをご存じでしょうか。2019年11月27日、外貨建て保険の販売を巡り、生命保険業界と銀行業界の間で激しい議論が交わされています。生命保険協会は、相次ぐ苦情を食い止める「切り札」として新たな販売資格の創設を提案していますが、これに対して窓口販売の主役である銀行側が真っ向から反論しているのです。

この問題の背景には、外貨建て保険特有の複雑な仕組みがあります。これは日本円を米ドルや豪ドルなどの外貨に替えて運用する商品ですが、為替相場の変動によって受け取る保険金が元本を下回る「元本割れ」のリスクが常に付きまといます。近年の低金利を受け、少しでも高い利回りを求める層に人気を博していますが、それと比例するようにトラブルも急増しているのが現状です。

SNS上でも「親が仕組みを理解せずに契約していた」「リスクの説明が不十分だった」といった悲痛な声が散見され、業界の信頼は揺らいでいます。生保協会はこうした批判を真摯に受け止め、2022年春の運用開始を目指して新しい試験制度の導入を急いでいます。しかし、2019年11月上旬に行われた会合では、銀行側から「スケジュールありきだ」と厳しい批判が相次ぎ、議論は平行線を辿りました。

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資格創設か、既存制度の改善か?問われる実効性

銀行側が難色を示す最大の理由は、現場の負担増にあります。すでに「変額保険」という、運用実績によって保険金が変わる商品のための資格試験が存在しており、銀行側は「既存の試験内容を見直せば十分ではないか」と主張しています。新たな資格を設けるとなれば、窓口で働く職員は多忙な業務の合間を縫って試験勉強を強いられ、銀行も多額の受験料を負担しなければなりません。

生命保険協会の清水博会長(日本生命保険社長)は、2019年11月15日の会見で、銀行側との調整が難航していることを認めつつも、実施に向けて協議を続ける姿勢を強調しました。専門用語で「リテラシー」と呼ばれる、金融知識を読み解く能力を売り手が向上させることは、顧客保護の観点から避けては通れない課題だと言えるでしょう。

私個人の意見としては、単に試験を増やすことだけが解決策になるとは到底思えません。現在の苦情の多くが「説明不足」に起因している以上、資格という形式よりも、顧客の人生に寄り添った誠実なコンサルティングが行われる仕組み作りこそが重要です。銀行の手数料稼ぎや販売目標の達成が優先される風潮がある限り、どんなに難しい試験を導入しても、本質的な改善には繋がらないのではないでしょうか。

生命保険、銀行という二つの巨大業界が、目先の利益や利便性ではなく、本当の意味で「顧客の安心」を最優先にできるかどうかが今、厳しく問われています。2020年中に試験制度の詳細を固めたい生保側と、慎重な姿勢を崩さない銀行側。この攻防がどのような結末を迎え、私たちの資産形成にどう影響するのか、引き続き注視していく必要があるでしょう。

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