GDPを超えた豊かさの基準とは?九州大学・馬奈木教授が語る「新国富指標」が描く持続可能な未来

私たちは長らく、国の豊かさを測る基準として「国内総生産(GDP)」を重視してきました。しかし、2019年11月28日現在、その指標だけでは見えてこない「真の豊かさ」に注目が集まっています。九州大学の馬奈木俊介教授は、従来の経済指標に代わる「新国富指標」の重要性を説いています。

新国富指標とは、道路や建物などの「人工資本」に加え、森林や農地、天然資源といった「自然資本」、さらに人々の教育水準や健康寿命を含む「人的資本」の3つを統合して算出する画期的なものなのです。GDPが「どれだけ稼いだか」というフローを示すのに対し、こちらは「将来世代に引き継げる資産」のストックを数値化しています。

ネット上でも「環境を破壊して経済を回しても、未来が犠牲になるなら意味がない」といった共感の声や、「教育や健康を資本として捉える視点が新しい」といった驚きの反響が広がっています。環境負荷を無視した成長から、本当の意味での持続可能性へと、社会の関心がシフトしている証拠と言えるでしょう。

馬奈木教授は、資源国であるサウジアラビアを例に挙げました。同国ではGDPこそ増加していますが、石油の採掘によって自然資本が目減りしており、新国富指標はマイナス成長に陥っているのです。これは、現在私たちが享受している豊かさが、実は未来の資源を食いつぶしている可能性を鋭く示唆しています。

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地域社会を変える指標の力と日本の特異な現状

この指標は、すでに具体的な政策にも活用されています。福岡県久山町では、町民が価値を感じる資産を調査した結果、公園などの自然環境への評価が非常に高く、それが実際の予算編成に反映されました。数字の裏付けがあるからこそ、人々の幸福に直結する投資が可能になるのではないでしょうか。

さらに中国においても、格差是正のために闇雲にインフラを整えるのではなく、教育投資を通じた人的資本の充実こそが先決であるという提言が行われています。このように、新国富指標は単なる経済データを超えて、社会の進むべき優先順位を明確にするコンパスのような役割を果たしているのです。

興味深いことに、2019年現在の日本のデータでは、新国富指標の伸び率がGDPを上回っています。これは世界的に見ても極めて稀な現象です。背景には、長年のインフラ投資により国としての資産は積み上がっているものの、それが消費の拡大、つまりGDPの成長に結びついていないという日本特有の構造が見えてきます。

編集者の視点から言えば、もはや経済成長の数字を追うだけの時代は終わったと感じます。私たちは今、目先の利益だけでなく、次世代へ残せる価値をどう守り育てるかを問われています。新国富指標が普及することで、より多角的で温かみのある社会評価が定着することを願ってやみません。

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