中東情勢がかつてない緊迫した局面を迎えています。2020年1月3日未明、米軍はイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を無人機による精密攻撃で殺害しました。この衝撃的な一撃に対し、イラン側は米国への激しい報復を宣言しており、両国間で深刻な衝突の連鎖が始まる懸念が高まっています。インターネット上のSNSでも「第3次世界大戦の引き金になりかねない」「日本への原油供給は大丈夫なのか」といった、今後の展開を不安視する声が数多く飛び交っています。
イランの精鋭部隊である革命防衛隊の幹部は、中東全域にある米国の関連施設や、重要な海上交通路であるホルムズ海峡を航行する船舶が攻撃対象になると言及しました。これを受けてトランプ米政権は、中東への米兵増派の検討を開始しています。互いに「レッドライン」、つまりこれ以上は越えてはならない一線を踏み越え、偶発的な軍事衝突に発展するリスクがくすぶる現状は、まさに一触即発の危機と言えるでしょう。
世界経済を揺るがす原油供給への脅威
この緊迫化により、世界のエネルギー供給の命綱であるホルムズ海峡の安全が脅かされています。ここを通過する石油輸送量は世界全体の需要の約2割を占め、日本にとっては実に原油輸入の8割を依存する極めて重要な海域です。地政学リスク、いわゆる特定の地域における政治的・軍事的な緊張が経済に悪影響を及ぼすリスクが再燃したことで、2020年1月3日のニューヨーク原油先物相場は一時1バレル64ドル台まで急騰しました。
イランの報復手段には、ミサイル攻撃だけでなくサイバー攻撃や、中東各地の親イラン民兵組織組織を使ったゲリラ戦も予測されます。さらにウラン濃縮レベルの引き上げといった核合意の義務停止に踏み切る恐れもあります。米国とイランの軍事力には圧倒的な格差が存在しますが、米国の経済制裁で追い詰められたイランの保守強硬派が、合理性を欠いた強硬手段に出る可能性は否定できず、しばらくは原油の高値が続く見通しです。
レバノンで新展開を迎えるゴーン被告の逃亡事件
中東が揺れる中、もう一つの大ニュースが国際社会を騒がせています。日産自動車の元会長であるカルロス・ゴーン被告が日本から逃亡した事件で、レバノンの検察当局は2020年1月7日から2020年1月8日にかけて、元会長本人から事情聴取を行う方針を固めました。国際刑事警察機構(ICPO)からの国際指名手配を受けた措置ですが、レバノン側は日本への身柄引き渡しには応じない意向を示しています。
一方で、密航の経由地となったトルコでは捜査が急速に進展しています。トルコの裁判所は2020年1月3日までに、無断出入国に関与した疑いで航空会社のマネジャー1人とパイロット4人を逮捕しました。マネジャーは「引き受けなければ家族に危害が及ぶと脅された」と供述しており、ゴーン元会長の逃亡劇の裏にある、生々しい犯罪組織の影が浮き彫りになりつつあります。元会長は2020年1月8日に記者会見を予定しており、その発言に注目が集まります。
編集部EYE:力による報復の連鎖がもたらす未来
米国によるソレイマニ司令官の殺害は、テロ抑止を大義名分としていますが、イラン国民にとっては英雄を奪われた暴挙にほかなりません。お互いの「正義」が衝突する中で、トランプ氏の「戦争は望まない」という言葉がイラン側に届く可能性は極めて低いでしょう。力に対して力で応じる報復の連鎖は、何の解決にもならず、ただ無辜の市民や世界経済を人質にするだけです。日本としても、原油供給の途絶という死活問題に直面する前に、外交努力を尽くすべきです。
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